A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (599)
第596話 弁当にフォアグラ
休憩を終え俺達は再び先へと進み始める。
「あ〜、普通の砂地が快適に感じるな〜」
「そうね、普通なら、ここでも大変と思うところだけど、慣れって恐ろしいわね」
「ゴーグルとマスクを外せるだけで開放感が違うな」
「そうですね〜」
砂嵐がないとこんなにも快適なのかと思いながら、どんどん進んでいくが、しばらくすると砂地エリアも終了して、通常のフィールドへと戻った感じだ。
床も砂地ではなくなっているので、これから先出現するモンスターも変わってくるはずだ。
「海斗、そろそろお昼にしない?」
「ああ、そうか、まだ食べてなかったな」
「お腹が空いたな」
砂嵐エリアに入ったのがお昼前だったので既に結構いい時間になっている。
砂地エリアではご飯を食べるのが難しかったので控えていたが、意識し始めると確かにお腹が結構空いている。
三人で相談してその場に留まってお昼ご飯を食べる事にした。
今日の俺のお昼ご飯はハムカツサンドに、塩にぎりだ。
「海斗、ハムカツサンドはいいと思うが塩にぎりとは、また結構渋いチョイスだな」
「あっさりしていて美味しいんですよ」
「男子高生としては、発言が妙に老成しているな」
「そんな事ないですよ。いろいろ食べて最終これが一番かもしれないです」
「やはり海斗は老成しているな」
「いやいや普通の十七歳ですよ」
「十七歳なら普通は焼肉、ラーメン、苺パフェだろう」
苺パフェ? 十七歳は普通苺パフェなのか?
「どれも好きですけど、今日は塩にぎりの気分なんです」
「よかったら、私のおかずを分けてもいいが」
「いえ、だいじょうぶです。ありがとうございます」
「私のをあげてもいいわよ。今日は体力がつくように鰻とフォアグラがメインだから」
昼の弁当のおかずが鰻にフォアグラか……
普段そんな弁当にはお目にかかった事はない。
うちのパーティメンバーは三人ともお嬢様には違いないが、フレンチレストランの件も含めてミクはその中でも飛び抜けてお嬢様な気がする。
今までに鰻は食べた事はあるけどフォアグラは食べた事がないので、食べてみたいという興味はあったが、グッと我慢して遠慮しておいた。
「ミク、昼からそんなにいっぱい食べてだいじょうぶなの?」
「食べないともたないじゃない。倒れちゃうわよ」
「そうかもな〜。ミクは普段からフォアグラとか食べてるのか?」
「そうね。ママが結構好きで昔からお弁当の定番なのよ」
「ああ……そうなんだ」
俺が知らないだけだろうか?
お弁当の定番がフォアグラ。
フォアグラってお弁当のおかずだっけ?
世界三大珍味とかじゃなかったか?
やはりミクは一般から少し外れているような気がする。
それにしてもミクは食べる量に対して、見る限りではかなり痩せ型だと思う。
もしかして胃下垂だろうか?
二十分ほどで全員が食べ終わったので片付けをして、先に進む事にする。
「結構いいペースだとは思うけど、今の感じだと今日明日では攻略できそうにはないな」
「来週からゴールデンウィークだから、そこのどこかではクリアしたいわね」
「そうだな。今日明日で出来る限り距離を稼いでゴールデンウィーク中に攻略するというのが一番現実的だろうな」
ヒカリンの事があるので気ばかり焦るが、マップを見る限り、まだ半分まで来ていないように見える。
どうにか今日中に半分までは行っておきたい。
それにしても、ご飯を食べた後はいつも眠くなるな。少し抑え目にしているつもりだが、血液が腹部に集中するからだろうか。
その理屈でいくと鰻とフォアグラを食べたミクはもっと眠くなってそうだが、もしかしたら気づかれないように振る舞っているのかもしれない。