A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (6)
第6話 2階層へ
この3ヶ月のリザルトだがスライムの魔核1000個×500円 で50万円 殺虫剤8万5千円差し引き41万5000円
1ヶ月あたりなんと138000円オーバー
やばい。
めっちゃ稼いでる。
月に30000円だった稼ぎが一気に4倍以上になった。
高校生でこんなに稼いでいるのは俺だけじゃないのか?
いや、探索者でもっと上位の高校生も多数いるはず。
他の奴らはもっと稼いでいるのか?
とりあえず、どうしよう。
41万5000円 人生17年史上 最高の貯金額となってしまった。
何に使おうか考えてみたが、基本、俺の生活は学校に行くかダンジョンに潜るかしかない。
特に金のかかる趣味もなければ、金のかかる彼女がいるわけでもない。
2人しかいない友達も学校以外で遊ぶ事はほとんどない。
つまり使い道がない。
であれば貯金すればいいのだが、せっかく手に入った大金。何かに使ってみたい。
札束で大人買いしてみたい。特に買うものも思いつかないが・・・
結局 俺は探索者マーケットに向かう事にした。
この3ヶ月で自信をつけた俺は一つの決心をしていた。
明日から2階層へチャレンジしてやる。 以前死にかけたあの2階層へ。
考えるだけで冷や汗が出てくる。 魂に刻み込まれたゴブリンのパンチ。
体が
心が
魂が
悲鳴を上げている。
二度と会いたくない あの絶対強者ゴブリン
できることなら俺の人生から排除してしまいたいが、このままずっとスライムを狩り続けるのは辛い。
ようやく稼げるようになってきたけど、やっぱり辛い。 精神的にキツイ。 毎日の反復作業に飽きてきてしまったのだ。
贅沢な悩みなのはわかる。わかるが、サーバント持ちで1階層をホームグラウンドにしているのは世界中で多分俺だけだと思う。
本当はもっと早く2階層へ行くべきだったと思う。
しかし魂レベルに刻み込まれたゴブリンの恐怖とモブ根性丸出しで今まで避け続けた。
でもサーバントカードを召喚した時の夢とロマンの厨二夢が病気のように、また出てきてしまった。
出てきてしまったら治らない。
何しろ10億円の誘惑にも勝った病気なのだ。
行きたくないけど、どうしても行ってみたい。まだ見ぬ階層へ。
という事で購入するものは既に考えている。
シルフィーは2階層でもたぶん大丈夫。となると大丈夫ではないのは俺だ。
LV4のモブである俺は間違いなくゴブリンより弱い。シルフィーが何かあった時に、俺はまた死ぬ可能性がある。
なのですぐに死なないように防具を買いたい。
何がいいか全くわからず適当に見ていたが とにかく高い・・・
鎧タイプになると数百万はあたりまえ。数千万円もザラである。
ちょっと大金が入ったので、舞い上がってなめていた。
ダンジョン用品は思った以上に高かった。
仕方がないので店員のおっさんに
「予算は30万ぐらいまででいい防具なにか無いですか?」
「どの部分だ?」
「できれば全身」
「無理だな」
「え・・・無理って・・」
「全身だと最低でも0が一個違うぜ。」
「あーそんな感じですか。」
「にーちゃん初心者か?」
「あー まー そうです。」本当は2年以上キャリアがあるが。
「1階層か?」
「いえ2階層に行ってみようと思ってるんで」
「それならスチール製の盾だな」
「盾ですか」
「ダンジョン用に補強されてぴったり30万だ。うまく使えば全身守れるぜ。」
「見せてもらってもいいですか?」
すぐにおっさんはバックヤードから盾を持ってきてくれた。
70cm程度の四角い盾だった。あんまりかっこよくはないが持ってみたら思ったより軽かった。
選択肢がないので思い切って購入した。
「ゴブリンやスケルトンぐらいの攻撃なら十分防げるぜ。あいつらの持っている武器にもよるがな」
おっさんのアドバイスとも脅しとも取れる発言を後に俺は早速ダンジョンに潜った。
「シルフィー、今日はいつものスライム狩りじゃなく、2階層へ行くぞ。」
「かしこまりました。はじめての2階層ですが、がんばりますね。」
「頼りにしてるからな。 」
「ありがとうございます。」
いつもと違う俺。
スチール製の盾を持った俺だ。
ついに2階層へ向った。
覚悟を決めて降りたらすぐに絶対強者ゴブリンに遭遇した。