A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (631)
第628話 スケルトンは嫌われる
俺の前に立ちはだかるスケルトンは三体。
通常のスケルトンはゴブリンに混じりたまに二階層に現れる低級モンスターだが、今目の前にいるスケルトンはそれよりも良い剣を持っているように見える。
いくら低級モンスターとはいえ三体同時はきつい。
しかも戦っている間にスカルドラゴンへの攻撃のタイミングを失ってしまう。
俺はスケルトンと交戦に入る前にドラグナーをスカルドラゴンの頭部に向かって放つ。
蒼い糸を引いた弾丸がドラゴンの頭部を捉え、弾は命中した周囲を弾いて貫通した。
一瞬やったか? とも思ったが、スカルドラゴンは何事もなかったかのように動いているので、普通のドラゴンとは違い、頭部を撃ち抜くだけでは消滅へとは至らないらしい。
これはどう考えても合間を縫って倒すことはできそうにないので、スケルトンへと視線を移し戦闘に入る。
集中力を高めてバルザードを構えるが、バルザードよりもスケルトンの手にある剣の方が長さがあるので俺は『ウォーターボール』を唱えて魔氷剣を発動する。
十七階層ではドラグナーがメインになっていたので魔氷剣を発動して戦うのは久しぶりな気がする。
スケルトンが一斉にこちらへと向かってくるが、骨だけの身体は滑らかさに欠け動きも鈍い。
「遅いっ!」
俺は最初のスケルトンの剣を避けて斬りつけて、スケルトンの右腕を斬り落とし攻撃力を奪う。
間髪入れずに次のスケルトンが斬りかかってきたので素早く避けて、カウンター気味にスケルトンを袈裟斬りに斬りつけてスケルトンを倒す。
集中しLV22に達した今の俺にとっては、スケルトンの動きは問題にならなかった。
そして次の一体を相手にしようと踏み出した瞬間、ありえない方向から剣での攻撃を受けてしまった。
「なんっ!」
一体は倒しもう一体も武器を扱う腕を斬り落としたので攻撃力は失っていたはずだ。
もう目の前の一体以外には攻撃する術を持っていないはずだ。
それなのに、スケルトンによる剣戟を受けてしまった。
不意をつかれたので、避けることはできず咄嗟に魔氷剣を使い受け止めた。
鍔迫り合いをする相手も見ると確かにスケルトンだが腕はしっかり二本ある。
「なんで!?」
確実に二体は魔氷剣で攻撃力を奪ったはずなのに、なぜかそのうちの一体から攻撃を受けた。
しかもよく見ると斬り伏せたはずの一体も起きあがろうとしている。
「ネクロマンシーか!」
このスケルトン達はネクロマンサーによって生み出されたモンスターだ。
普通のスケルトンとは違う。
元から命を持たないモンスター。
仮初めの命を生み出せるなら、自ら生み出したモンスターの欠損や傷を修復する程度なんでもないのかもしれない。
厄介極まりない!
いずれにしても再び俺は三体のスケルトンを相手にすることになってしまった。
「そこをどいてください。邪魔です」
スカルドラゴン越しにシルが交戦しているのが目に入る。
低級であるスケルトン相手なのでスキルを使わずに神槍で攻撃して薙ぎ倒しているが、俺の相手同様に倒れる側から起きあがってきている。
「しつこいです。女の子相手に嫌われますよ」