A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (633)
第630話 スケルトン撃破
一番手前にいるスケルトンに向かい魔氷剣を頭部に目掛け振り切る。
スナッチの攻撃で動きの止まっていたスケルトンは、俺の動きに反応することなく頭部を破壊されて崩れ去った。
続けてミクの『ライトニングスピア』で下半身を失い、上半身だけになっていた個体に向けて振りかぶった魔氷剣を、その頭蓋に向けて振り下ろし破壊することに成功した。
残るスケルトンは一体だが、二体目を倒した時には、すでに回復して俺に向かって攻撃してきた。
「遅いっ!」
さすがにスケルトンと一対一では負けない。
剣をかわして、最後の一体の頭部を砕く。
これで三体を倒したが、本当にこれで終わりか?
ネクロマンサーにより再び動き出すのではないかと不安になりながら、倒したスケルトンを注視するが動き出す気配はない。
本当に倒すことができたようだ。
「他のみんなは?」
俺は自分の相手を葬り去るとすぐに、メンバーの状況を確認する。
先程見えていたシルは問題なく二体を倒し、あと一体を残すだけとなっているので、問題ないだろう。
あいりさんも二体を相手にはしているが、薙刀の長い間合いをうまく使い問題ないように見える。
問題は俺の反対側にいたベルリアだった。
俺の反対側、つまりはスカルドラゴンの正面に陣取っているのだが、ベルリアは俺達とは違いスケルトンだけでなくスカルドラゴンをも相手取って戦っていた。
目の前のスケルトンを相手に剣を振るうが、スカルドラゴンのファイアブレスが容赦なく襲いかかっていた。
ベルリアは炎に身を焦がしながらも、スカルドラゴンの注意が四方に散らないように果敢にスカルドラゴンへの牽制も続けていた。
焼けたその身を『ダークキュア』で回復しながら、その場にとどまり戦っているが、明らかに回復が追いつかなくなっている。
しかもスケルトンが三体ではなく五体までその数を増やしており、実質六対一の状態となっていた。
俺は迷わず、スケルトンの一体に向けてドラグナーを放ちベルリアの元へと走る。
ベルリアのスピードがあれば、広いスペースで戦えばスカルドラゴンのファイアブレスを避けることも可能だったと思うが、俺の指示を聞いてその場でとどまり続けてくれたのだろう。
いくらベルリアが悪魔とはいえドラゴンのファイアブレスにその身を焼かれることが平気なはずはない。
いつもは怪しいベルリアの忠誠だが、この極まった状況での忠誠は素直に胸が熱くなり、すぐにでも加勢しなければと身体が動いた。
「ベルリアァ〜!」
俺は戦略を捨て時間を優先させて、ベルリアの戦場へと突っ込む。
「マイロード……この程度の敵など私一人で大丈夫です……」
「ベルリア……」
言っていることは強気だが、明らかにいつものベルリアではない。
見た目以上に回復を繰り返した肉体にダメージが蓄積しているのは明らかだ。
ベルリアは役目をしっかりと果たして時間を稼いでくれた。
次は主人である俺の番だ!
俺は目の前に立つ四体のスケルトンとスカルドラゴンに向けて、再び集中力を高める。