A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (636)
第633話 スカルドラゴン戦
俺の前にスケルトンはもういない。
スカルドラゴンと騎乗しているネクロマンサーを倒すのみだ。
だが俺とシルだけで倒すにはどうすればいい?
堅くいくならシルに『鉄壁の乙女』を使ってもらい、そこから俺が攻撃するべきなのかもしれないが、俺では火力不足は否めない。
しかも、あのファイアブレスを一方的に浴びれば、直接ダメージは受けなくても熱は伝わってくるので俺が耐え切れるかどうかもわからない。
もう一つの選択肢は二人で攻めることだ。
この場合絶対にファイアブレスの直撃だけは避けなければならない。
もし俺が消し炭になってしまえば、回復する事は不可能となってしまう。
「シル! 二人で攻撃するぞ!」
「わかりました」
俺は覚悟を決めてスカルドラゴンに向かうが、先にスナッチが飛びだしてスカルドラゴンに向けて『ヘッジホッグ』を放つ。
当然のようにスナッチの攻撃はスカルドラゴンの外装を突破することはできないが、俺とシルが近づく為のわずかな時間を稼いでくれた。
ただ、スカルドラゴンに直接攻撃を叩き込むにはひとつだけ問題がある。
それはルシェの獄炎だ。
獄炎はスカルドラゴンには、分厚い泥の外装のせいでほとんどダメージを与えることができていないが、未だにドラゴンの周りで燻っている。
この獄炎が厄介だ。
目測を誤って俺が触れれば、俺自身が燃えてしまうだろう。
ルシェが直接主人である俺を攻撃する事はできないが、第三者に向けて放った獄炎に俺が自ら触れれば俺が燃えないという都合の良い話はないはずだ。
つまり俺は獄炎に触れないように攻撃せざるを得ないのでかなり動きが制限されてしまう。
「主と共に消えてなくなりなさい『神の雷撃』」
シルが俺に先んじて雷撃を放ち、ネクロマンサーと一緒にスカルドラゴンを攻撃する。
雷撃がネクロマンサーとスカルドラゴンを覆っていた泥の外装を弾き飛ばす。
ネクロマンサーを覆っていた泥は完全に吹き飛び、スカルドラゴンも上半身の泥が一気に吹き飛んだ。
ネクロマンサーは、本体である骨格にもダメージが入ったようで、かなりの部分が黒く焦げている。
泥の外装のせいで倒せはしていないが、かなりダメージを与えたのは間違いない。
このまま連発すればいける!
「シルもう一発だ!」
「わかりました。これで終わりです『神の雷撃』」
二発目の雷撃が発動して雷がネクロマンサーとスカルドラゴンを撃つ。
「なっ……」
閃光が走りこれで決まったかと思ったが、今度は残念ながらネクロマンサーもスカルドラゴンも無傷だった。
敵モンスターの外装は先程まで纏っていた泥ではなく水に換装していた。
覆っている水はおそらく純水なのだろう。
今度はシルの雷撃を完全にシャットアウトしている。
こいつ、もしかしてネクロマンシーの力でいろんなドラゴンの能力を発現できるのか?
透ける水の外装からネクロマンサーの焦げていた骨が修復していくのが見える。
こいつも自己修復できるのか。さすがは死者を操るネクロマンサーといったところだが、厄介極まりない。
外装が水に変化したことで、ルシェの獄炎によりスカルドラゴンの周りを水蒸気が立ち上る。
この状況は……