A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (64)
第64話 魔剣バルザード
これが今の俺のステータスだ。
LV 16
HP 53
MP 35
BP 57
スキル
スライムスレイヤー
ゴブリンスレイヤー(仮)
神の祝福
ウォーターボール
BPが57にもなっている。モブだから役立たずでも仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、このままでは、どうしても自分を納得させることができない。
6階層のコンビニで休憩している最中
「伊藤さん。お願いがあります。午後からの探索ですが、一度でいいので俺に前衛をやらせてください。」
「え、だけど高木くんの武器じゃゴーレムに致命傷を与える事は・・・・」
「お願いします。無理ならすぐ、誘導役に徹します。」
「う〜ん。そこまで言うなら再開したら最初の戦闘を任せるよ。無理だったら、すぐにチェンジだ。」
「ありがとうございます。なんとかしてみせます。」
お昼に、たらこおにぎりと梅干しおにぎりを食べて午後からの探索に備えた。
探索開始して程なく、ゴーレムのグループに遭遇。
ストーンゴーレム2体とアイアンゴーレム1体のグループだ。
後藤さんから
「伊藤さんたちでストーンゴーレム一体を先に倒してくれ。残りの1体とアイアンゴーレムはこちらで受け持つ。あとで加勢してくれ。」
俺はストーンゴーレムを倒すことに集中する。
俺がこいつを倒すには魔剣バルザードを使うしかない。
素早く懐に入って一閃。そんな芸当はできない。
暗殺者のように気配を消して後ろからの一刺し。そんな隠密スキルも持ち合わせてはいない。
それでもやるしかない。
「伊藤さん、しばらくゴーレムの相手をお願いします。」
伊藤さんにストーンゴーレムの相手をお願いしている間に、俺は盾を構えたままゴーレムに突撃、
ではなくゴーレムの視界から外れるように大回りに横側に走った。そのままゴーレムの後ろに回って、ゴーレムが伊藤さんと戦闘している間に出来るだけ、音を立てないように、距離とタイミングを測りながら、少しずつ近づいた。最後に覚悟を決めてゴーレムの背部に飛び込んで魔剣 バルザードを突き出す。 バルザードの刃は、鈍い感触と共に難なく刺さった。その瞬間、破裂するイメージを重ねる。
「ボフゥン!」
ゴーレムの腹部が爆砕し、同時にストーンゴーレムは消失した。
「なっ!?」
伊藤さんが、何か言いたそうな顔をしていたが、
「伊藤さん、後藤さん達の援護に向かいましょう。」
後藤さん達を見るとそれぞれが1体づつのゴーレムを相手に、牽制と攻撃を繰り返しているが、一進一退という感じで、致命傷を与えるには至っていない。
目配せで伊藤さんが後藤さんのサポートに入り、俺は杉本くんのサポートに加わった。
先程と同じ様に杉本くんを相手にしているストーンゴーレムの背後にコソコソ回り込み、距離とタイミングを測りながら飛び込んで、バルザードを一突き。刺さった瞬間に破裂のイメージを重ねる。
「ボフゥン!」
2度目もなんとかうまくいった。ゴーレムが前方に意識がいっていて後方への注意がそれていた事や、動きが鈍い等の要因はあるものの、午前中は、なす術がなかった相手に対して完全に打ち勝つことができた。
隣に目をやると伊藤さんがハンマーで、アイアンゴーレムを粉砕していた。
伊藤さんのハンマーも普通のハンマーではないのかもしれない。
「高木くん、今のは一体なんだったんだ?ゴーレムが弾け飛んだぞ。バズーカか何か隠し持っていたのか?それにしては手持ちが無いようだが。」
「あー。あのですね、さっきのはこれです。」
「それってステーキナイフ?」
「いや、ちょっと小さいけど一応魔剣です。」
「えっ?魔剣ってあの魔剣?魔剣って実物は見た事ないけど、こんなに小さかったっけ」
「たぶんこれ最小の魔剣です。今まで射程が短すぎて、ほとんど使ったことがなかったんですけど、うまくいってよかったです。」
「は〜。高木くん火力不足なのかと思ったらすごいの隠し持ってたんだね」
「いや、本当に隠してたわけじゃないんです。ただほとんど使った事がないんで、使える自信もなかったんです。」
「高木くん、実はすごかったんだね。午前中は全然使えなかったから、すっかり騙されちゃったよ。人は見かけで判断しちゃダメだね。ところでその魔剣っていくらぐらいしたんだい?」
結局その後も褒められてるのかディスられてるのかよくわからない感じになってしまったが、その後も順調にゴーレムを倒し、無事に初日を終えることができた。