A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (650)
第644話 特殊能力?
結局いつもと同じスタイルでスライムを狩ることになった。
少しでも時短になるようにベルリアと俺が同時に攻撃してスライムを倒し、ダンジョンも早歩きで移動する。
既に昼を迎えているが、ミク達とは夕方まで合流しないので、買ってきたウィンナーロールと鮭おにぎりを歩きながら頬張る。
「おい! 休まないのか?」
「まあ、移動時間が長いからな。休憩しているようなもんだ」
「ほとんどビョーキだな。わたしたちはちょっと休みたいぞ」
「いや、ちょっと待て。ルシェは何にもしてないだろ。スライムの一匹でも倒したか?」
「スライムなんか弱すぎて相手にするまでもないんだよ」
「それで休憩はないだろ」
「歩き疲れた!」
「じゃあ、カードに戻ってろよ」
「いやに決まってるだろ。まあいい、さっさと先に進むぞ」
なんでルシェがこの場面で偉そうにしているのか不明だが面倒なので、言われるままに進んでいく。
「ご主人様、スライムです」
「ああ、ベルリアいくぞ!」
「はい」
ベルリアが炎の刀で斬りつけそこに向かって俺が殺虫剤ブレスを吹きかける。
殺虫剤ブレスの本来の力と引火して燃え広がる炎の力であっさりとスライムが焼失して小さな魔核を残す。
それから約二時間ほどダンジョンを歩いたが、そろそろ飽きてきたようで
「海斗、そろそろ休憩にしようぜ。もういいだろ、なあ」
「ずっとは無理でも、ちょっとぐらいなら離れて行動できるんだろ。一人で自由にやってこいよ」
「馬鹿じゃないのか? 一人でスライムなんか倒して何が楽しいことがあるんだ! 気分転換どころか気分が余計にわるくなりそうだ」
結局、ルシェがうるさいので五分だけ休憩することにして、サーバント達にスライムの魔核を一個ずつ渡しておいた。
「たったの一個? ケチッ!」
「ルシェ、文句ばかり言ってはダメですよ。スキルを使った訳でもないのに魔核を頂いているんだから、ご主人様に感謝です」
「シル、騙されるな! 魔核一個で海斗にいいように丸め込まれてるだけだぞ。目を覚ませ!」
「いや、なんにも騙してないだろ。人聞きの悪いことを言うな。これ以上文句があるなら返してくれていいんだぞ?」
「ふん、しょうがない。一個で我慢してやる。感謝しろよ?」
どう考えても感謝するのはお前だろ。
そこから更に二時間ほど一階層を歩いて周り、そろそろ出口へと向かう時間が近づいてきた。
「マイロード、今日一日順調にスライムを狩ることができましたね。かなり集中しましたがおよそ七時間ほどでしょうか?」
「ああ、流石にちょっと疲れたな。それにメタリックカラーのスライムも出なかったし、順調っていうのはな」
「申し訳ございません。集中のあまり途中からスライムを狩る事で頭がいっぱいになっていました」
「まあ、気持ちはわかるけどな」
サーバント達と歩いて一階層の出口付近までやってきたが、あと十五分で十七時になるのでちょうどいい時間になったようだ。
出口に着くと既にミクは着いていた。
「お疲れさま」
「思いの外疲れたわ。私は十二匹倒せたけど海斗は?」
「俺は五十五匹だけど」
「五十五!? そんなに? さすがというか精神力がすごいわね」
「あんまり精神力は関係ないけど」
「いえ、レベル23で一日七時間以上一階層でスライムを狩り続ける事ができるのは海斗だけだとおもうわ。ある意味すごいのよ」
ミクの物言いが褒めてくれているのか、それともバカにしているのかは難しい所だが、俺にとって唯一とも言える特技のようなものなので七時間ぐらいは全く苦にならない。