A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (662)
第655話 カードが鍵?
絶たれた希望を必死に繋ぐために頭をフル回転させる。
一番現実的なのは、申し込み期限であるオークションの開催日の三週間前、六月末までサーバントカードの売却を先延ばしにする事だ。
その段階でおそらく、霊薬の出品の有無が確認できるはずだ。
ただこれも不確定要素が大きすぎる。
第一にヒカリンが七月二十日までは難しいという事。
第二に霊薬が出品されない可能性がある事。
第三にサーバントカードの売却金額で霊薬が買えるかどうかは当日のオークション次第であるという事。
シルが結果は偶然による産物ではなく必然によるものだと言っていた。
正直俺は結果ありきの運命論はあまり好きではない。
全ての行動が既に決まってしまっている結果に収斂するのであれば、自分の努力や選択が無駄にも思えてしまうからだ。
ただ今だけは、その運命論にも縋りたい。
運命であっても時間の壁は越えられない。
そうであるなら、可能性としては二つ。
ヒカリンの病状が改善してリミットが伸びる、もしくはそれ以外の選択肢がある可能性。
たけど、今の俺達に選択肢は一つしか残されていないようにも思える。
「海斗、もう一度サーバントカードを見せてもらってもいいだろうか?」
「え、ああ、どうぞ」
あいりさんが声をかけてきたのでカードを取り出して渡す。
あいりさんが念入りにカードを見ている。
「どうかしましたか?」
「私にはどうしてもシル様の言っている事が間違っているとは思えないんだ。実際にこうやってサーバントカードも出たわけだしな。とにかくこのサーバントカードが鍵なのは間違いない。それならばオークションで売却する以外の可能性がこのカードにはあるんじゃないだろうか?」
どうやらあいりさんも俺と同じ考えに行き着いたようだが、俺にはその可能性が全く思い浮かばない。
「どうですか? 何かわかりましたか?」
「ああ、あくまでも推測だがひとつの可能性として聞いてほしい。ミクも一緒に見てくれ。このカードだが種別はフェアリークイーンだ。妖精の女王。今までも何度か妖精と戦ってきたが、妖精の特徴は大体が直接的な攻撃力を持たないという事だ。補助魔法や精神系の魔法がメインで直接的な攻撃を受けた事は一度も無い」
「ああ、確かにそれはそうですね」
「このカードに武器が記されていないのはそれが理由なんじゃないだろうか?」
「可能性はありますね」
「そしてこのスキル構成だが、この『ウィンガル』というスキルは正直よくわからないが『キュアリアル』はその名の通り回復系のスキルだろう。武器を持っていない事とこのスキルそしてフェアリークイーンという事から推測するとやはりこのサーバントは後方支援型の可能性が高い」
確かにあいりさんの推測は的を得ているように思える。
武器を持っていないのもベルリアとは違って、種族特性で元々持っていない可能性があるように思える。
そしてあいりさんが言う通り、そうであれば『キュアリアル』というスキルを鑑みてもこのサーバントが後方支援型というのは納得がいく。
ただ、その事とヒカリンの件が俺には結びつかない。