A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (669)
第662話 ユグドラシル
キュアリアル …… 戦闘中低下したMP以外のステータスを一定間隔で回復する。
これは、戦闘中は低下したステータスを継続的に回復させるスキルか。
しかもMP以外のステータスという事はHPを含めた消耗し減衰したステータスも回復するという事だろう。
『キュアリアル』はベルリアのスキルもそうであるように『キュア』と名前が付いているスキルは、ほとんどの場合が回復系スキルなので、この効果も納得だ。
ただこのスキルで回復するステータスに病気や状態異常も含まれるのかはわからない。
二つのスキルが補助、回復系であるという事は残りのひとつもその可能性は高い。
ユグドラシル …… 世界樹の花が咲く満月の日、世界樹に内包される奇跡の力で対象の身体を新生し全ての身体的異常、ステータスを回復する。使用は一度の機会に一度のみ。
「お、おおおおおおおおおおおおお〜! こ、これって! ティターニア『ユグドラシル』で回復できる状態異常って病気も治るのか!?」
「そう…‥です。すべての病気に試したわけではないので……たぶん」
確かに、ティターニアが言う通りこれがヒカリンの病気に当てはまるのかどうかはやってみないとわからない。
「ほらみろ、わたしが言った通りだろ! やっぱり上手くいっただろ。わたしにまかせれば間違いないって言った通りだ。心配するだけ無駄なんだよ。わたしの言うことは絶対だ!」
ルシェが勝ち誇ったように話してくるが、これは決してルシェのお陰ではない事だけははっきりしている。
それと、このスキルは世界樹の花が咲く満月の日にしか使えないのか。それと使用回数は一回のみ。おそらく効果の高さ故のダウンタイムがあると言う事なのだろう。
最大で月に一度だけ使用出来るスキル。
そして新生するという意味からすると病気も治る可能性が高い気がする。
ただ、満月の夜とは記載されずに満月の日となっているので、夜ではなくても使用出来る可能性は高い気がする。
満月の夜の前後であれば日中でも使用可能なのか?
もしこのスキルが夜限定なら更に使用出来る場面が限られてしまう事になる。
「ティターニア、早速『ユグドラシル』を使って欲しい人がいるんだけどいけるか?」
「はい。マスターに使えばいいのですか?」
「いや、そうじゃないんだ。俺のパーティメンバーが病気なんだ。だけどこのスキルは満月の日にしか使えないんだよな。そもそも満月っていつなんだろう」
「マイロード、まずは満月の日を確認した方が良いのでは?」
「ああ、そうだな。それじゃあ急いで行ってくるよ」
スキルが当たりだったのに気を取られてしまい、大事な事を忘れていた。
仮に昨日が満月だった場合、一ヵ月は使用できない事になってしまう。
俺は急いで地上へ戻ってからミクへと電話をかける。
「もしもし『ユグドラシル』だけど多分当たりだと思う。うん、全ての状態異常とステータスの回復だった。だけど使用出来るのは、満月の日に一回だけなんだ。その後はまた一ヵ月のダウンタイムがあるみたい。それで満月の日なんだけどいつなんだろう」
「ちょっと待ってね。スマホで調べてみるわ」
そうかスマホで調べれば良かったのか。どうやら、俺はまだテンパっていたようだ。
「海斗! 大変よ。5月の満月は今日だわ!」
「今日!? それじゃあ今日使わないと次は一ヵ月後になっちゃうよ。 これからヒカリンを連れて来れる?」
「わかった。海斗にもらった中級ポーションを飲んでもらってなんとかダンジョンまで連れて行くわ」
「ああ、頼んだ」
いきなりだが、これもある意味運命だったのかもしれない。