A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (676)
第668話 顔合わせ?
翌日の昼休みに、お昼ご飯を食べる準備をしていると後輩の野村さんがやってきた。
「先輩〜。ゴールデンウィークも終わりましたし、そろそろダメですか?」
「ああ、そうだったな。俺の方の用は一段落したからいつでもいいよ」
「本当ですか〜やった〜! それじゃあ、早速明日の放課後からでもいいですか?」
「うん、それじゃあ明日からで」
「理香子ちゃん、よかったら俺も一緒に行こうか? たまたま明日は、予定が何にも無いんだよね」
「隼人先輩ありがとうございます。でも大丈夫です。今回は海斗先輩だけで十分なので遠慮しておきます。それじゃあ失礼しま〜す」
「……」
隼人……
軽い口調とは裏腹に明らかにショックを受けた表情を浮かべている。
隼人も調子いいところはあるけど、いい奴なんだけどな。
野村さんとの約束もあるので、今週一週間は野村さんとダンジョンに潜るのも悪く無いかもしれない。
潜るにしても一階層もしくは二階層だけなので、それほど心配はいらないと思うけど、一応野村さん用の準備だけはしておこうと思い装備を整えて翌日を迎えた。
放課後になるとすぐに野村さんがやってきたので、春香の所へ連れて行く。
昨日春香に野村さんとダンジョンに行く事を伝えると、挨拶するから紹介して欲しいと言われたからだ。
「春香、こっちが野村さん。これから一緒にダンジョンへ行ってくるよ」
「葛城春香です。よろしくね」
「あ〜私は野村理香子です。よろしくお願いします」
「野村さんは、海斗にダンジョンでサポートしてもらいたいだけだよね」
「はい! そうです。それだけです。それ以外は何も無いので安心してください。春香先輩」
「うん、それじゃあ、怪我に気をつけて頑張ってね」
和やかに顔見せも終わったので、早速ダンジョンへと向かう。
「ふ〜緊張したぁ」
「何が?」
「春香先輩ですよ。春香先輩綺麗だけど怖いですよね〜」
「え? そうか? さっきも和やかな感じだっただろ?」
「海斗先輩、もしかして鈍いんですか?」
「いきなり失礼な奴だな」
「さっきの一瞬で、私が余計な事をしないように釘を刺されたんですよ〜」
「そんなやりとりなかっただろ」
「目と言葉ですよ。海斗先輩愛されてるんですね〜」
「何を言ってるんだ。別にそんなんじゃ無いから」
「あ〜、そういう感じですか。それは釘も刺されますよ〜。まあ私は先輩がしっかりサポートしてくれればそれだけで十分ありがたいんで、今日はお願いします」
言われなくてもそのつもりなので、まずはロッカーへ向かうが、先に野村さんの装備を確認する。
「野村さんの装備だけど……」
「はい、武器はこのハンマーと防具は特にありません」
ああ……そうだよな。
一階層だけだと、特別お金が無ければこんなもんだよな。
俺も一年前は殺虫剤以外の装備は野村さんと大差無かったもんな。
「ちなみにスライムって一日にどのくらい倒せるんだ?」
「そうですね〜。運が良ければ四〜五匹ぐらいですね。運が悪いと一匹の時もありますけど」
確か野村さんは土日に潜っていると言っていたので、毎週末潜っていたとして大体一〜一万五千円程度の収入なのだろう。
高校一年生のお小遣いとしてはそれなりにいい方だと思うけど、俺に頼ってきてるって事は多分それよりも稼ぎたいんだろうな。