A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (678)
第670話 野村さんと二階層へ
初日は、様子見で出会うスライムは全て野村さんに倒してもらった。
LV4だけあってスライム相手であれば十分にやれていたが、装備も含めて一人では二階層は難しいだろう。
以前の俺とそれほど大差無い感じだが、俺と違い殺虫剤を使用していないので、スライムを数匹相手にしただけで既に結構疲れている。
「よし、それじゃあ今日はこれで終わりにしようか」
「いえ、まだまだいけますよ。今日二階層まで行きましょうよ」
「いや、今日は時間も余り無いし、次回にしよう。一応準備もあるし」
「わかりました。じゃあ明日お願いします」
「明日? まあ俺はどうせ来るからいいけど」
「じゃあ、お願いしますね〜」
初日は一階層の中程で引き返す事にして引き上げる事にした。
翌日学校に着くと、隼人と春香から声をかけられた。
「海斗〜、昨日はどうだったんだよ」
「どうって、まあ問題なかったよ」
「海斗、野村さんと一緒で大丈夫だったの?」
「ああ、昨日は一階層に潜っただけだから大丈夫だった」
「二階層までは行かなかったんだな。それで理香子ちゃんはどうだった?」
「まあ一階層なら一人で問題ないけど、装備もハンマーだけだし二階層は一人じゃ厳しいと思う」
「ああ、以前の俺と同じ感じか。まあ海斗がいれば三階層ぐらいまでは何でもないだろ」
「まあ、隼人みたいに調子に乗らなかったらいいんだけどな。今日は様子を見て二階層へ行ってみるよ」
「海斗、気をつけてね。慣れたところだとしても絶対に無理はしちゃダメだよ」
嗚呼、春香は優しいな〜。やっぱり天使だ。
春香の言葉を肝に銘じテンションも上がった俺は放課後に野村さんと再びダンジョンへと向かった。
放課後の時間も限られているので二階層への階段に着くまでに出会ったスライムは、俺も一緒に倒しながら進んだ。
「野村さん、そのハンマーでもゴブリンを倒せない事は無いと思うけど、結構厳しいと思うから、これを貸してあげるよ」
俺は、そう言ってピストルボウガンを渡した。
以前ミクに貸していたが、ミクが魔核銃と魔法を使うようになってからは全く使われていなかったので、野村さんに貸してあげる事にした。
「これはボウガンですか? 私使った事ないんですけど」
「ああ、使い方は簡単だから。この矢をセットして狙いを定めてトリガーを引くだけだよ」
「これって当たるんですか?」
「初めてでも少し慣れれば五メートルぐらいからなら十分当たると思うから、頭とかじゃなくて身体の中心を狙って撃つのがいいと思う。一応連射が利くタイプだから外しても焦らずにもう一度撃てば大丈夫。完全に懐に入られたらハンマーで応戦しながら距離を取って、ボウガンで仕留める感じだな」
「飛び道具を使った事が無いので少し心配です」
「思ってる以上に強力だから。それに危なかったら俺がフォローするから大丈夫だ。本当は盾もあればよかったんだけど、大きいしボウガンには邪魔だから今回は無しでいこう」
「わかりました」
二階層への階段を前に実際に何度かボウガンの矢を放ち練習をしてから、いよいよ二階層へと踏み入れる。
「緊張しますね〜」
「一匹目は俺が倒すから、ゴブリンが現れたら後ろで見ておいてよ」
「はい、お願いしま〜す」
本当にこの子緊張しているのか?