A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (69)
第69話 嬉しいお誘い
今日は木曜日だが、昨日と同じように4人で7階層に潜っている。
さっそく4体のゴーレムに遭遇したので、交戦する。
流石に前衛2人でゴーレム4体は結構きついので戦略的に動く。
「一番左から『アースウェイブ』を頼む。ミク、スナッチに左から2番目を見てもらってくれ。一番右端は、俺が牽制しとくから、右から2番目をあいりさん、足止めお願いします。足止めの間に俺が仕留めます。」
指示と同時にそれぞれが役割を果たそうと動き出す。月曜日からの4日間でかなり意思疎通と連携が取れてきたので、スムーズな動き出しだ。
俺は魔核銃を一番右のストーンゴーレムに向けて連射して牽制。それと同時に隣のゴーレムの後ろにスーッと回り込む。時間をかけれないのであいりさんが薙刀で注意を引いてくれている間に躊躇せず背後に飛び込んでバルザードを一閃。一気に消失させた。そのまますぐにあいりさんは、右端のゴーレムと相対して、俺は『アースウェイブ』にはまっている一番左のアイアンゴーレムの後ろまで回り込んで一気に仕留めた。
隣のゴーレムはヒカリンの『アースウェイブ』が発動しており、スナッチが牽制しているので、しばらくは問題なさそうなので、そのまま、あいりさんが、相手にしているブロンズゴーレムの方に回り込んで後ろから一閃して、消失させた。
最後は、スナッチの相手にしているストーンゴーレムだけだが、あいりさんが自分で仕留めたいと言うので、譲ることにした。
あいりさんの薙刀捌きは、本当に絵になる。俺と違って流れるような動きで無駄が無い。
あっという間に、滅多斬りにして消失させてしまった。喋り方もだが武道の家元かなんかなんだろうか?
4体のゴーレムも難なく倒してしまった。このメンバーは思いの外、相性がいいのかもしれないな。ちょっと俺も含めて前衛の火力が足りないが、ゴーレム系でなければカーバンクルがもっと活躍してくれるので、結構バランスがいいような気がする。
そんな事を考えながら、次に向おうとするとミクが話しかけてきた。
「海斗、私たち4人パーティって結構上手くやれてるよね。そう思わない?」
「ああそうだな。結構順調じゃないかな」
「実は、私たち3人で昨日話し合って、このイベントが終わっても3人でパーティを組むことにしたの。それで海斗って普段ソロで潜っているのよね。」
「ああ、まあそうだけど。」
「もしよかったら海斗も一緒に組まない?」
「え!?俺?えっ?なんで俺?」
「私達、今までいろんな人と臨時パーティ組んだり色々してきたんだけど女の子が少なくて、なかなかメンバーが決まらなかったんだけど、今回の3人なら上手くやれると思って。それと海斗、あなたって普通でしょ?」
「まあ、多分普通だと思うけど。」
「普通って大事なの。今回も土日は違う男の人達とも組んだんだけど、戦闘狂だったり、マッチョだったり、ちょっと無理な人ばっかりで。おまけに組むと絶対連絡先聞かれたり、付き合ってる人はいるのか聞いてきたりで、必ず誘ってくるのよね。それが海斗は一切そんなことがなかったでしょ。戦闘力も見かけによらず、結構あるし、指示が結構やり易いから、3人で相談して一緒にどうかなって話になったのよ。」
言われてみれば、たしかに、イベント中俺は彼女達のプライベートには殆ど触れてこなかった。探索者の女性は少ない上に、彼女たちはそれぞれ、魅力的だ。たしかにいろんな誘いがあってもおかしくない。お嬢様だし。
俺は、そんな発想がなかった・・・
女の子とパーティ組むのも初めてだし、そもそも3人もの女の子とパーティを組んでそんなことに気を回す余裕がなかった。
「どうかな?来週以降も私達と正式にパーティ組まない?」
「俺なんかでいいのかな?」
「普通って希少なのよ。海斗がよければお願いしたいのよ」
「うーん。正直、誘ってくれてめちゃくちゃ嬉しい。考えてもなかったからビックリしたよ。実は3人の事は実際に組んでみて俺も相性がいいかなとは感じてたんだ。ただ、ちょっと考えさせてくれないかな。俺にも色々事情があってすぐには決めれないんだよ。本当にごめん」
「そうだよね。私達は急がないから答えが出たらまた連絡ちょうだい。」
そう言ってミクから連絡先を書いたメモを渡された。
これは夢なのか?
俺の人生でこんな事がおこっても大丈夫なのか?
なんか落とし穴はないか?
本当に大丈夫なのか?
色々考えてみても、全く分からなかったが、 3人とパーティを組むという事は、いずれシルとルシェを見せるという事だ。
3人の事だから大丈夫だとは思うが、幼女2人を使う俺・・・
大丈夫だろうか?
そもそも、最近シルから春香さんについて突っ込まれたばかりだ。あの時のシルとルシェの態度も微妙だった。正直あの2人がうまくやっていけるか自信がない。
う〜ん。飛び上がるほど嬉しい誘いだけど、慎重に判断しないと大変なことになる気がする。よく考えてから慎重に返事をしよう。