A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (702)
第694話 再始動
「ヒカリン、体調は大丈夫なのか?」
「はい、もう大丈夫なのです。むしろ前よりも良いのです」
「確かに顔色は良さそうだけど」
「海斗さん、心配しすぎなのです。前は薬とかで抑えていたのが、根治したので、今も身体が軽いんです。リハビリも順調に進んだので体力も問題ないのです」
「それならいいけど」
「はい、もう大丈夫です。海斗さんもティターニアちゃんも本当にありがとうございました。何度御礼を言っても足りません」
俺達は今十七階層に来ている。
遂にヒカリン復帰の日を迎える事となったが、ヒカリンはまだ十七階層未体験の為、メンバーで相談の結果、まずは十七階層へと向かう事と決まったのだ。
「ヒカリンわかってると思うけど、この階層は下級ドラゴン中心にエンカウントするから、まずは無理せず後方から様子見すればいいから」
「海斗さん、だから心配しすぎなのです」
「あぁ、そんなつもりじゃないんだけど。すまない」
とは言え、ヒカリンは病み上がりで、しかも久々の探索なので心配するなという方が無理がある。
「ご主人様、モンスターです。二体この奥にいます」
「それじゃあ、俺とベルリア、あいりさんが前で残りのメンバーは後方からサポートを頼んだ」
三人を先頭に進んでいくと、十七階層お馴染みの地竜が現れた。
「本当にドラゴンなのですね。やっぱり他のモンスターとは一線を画す感じなのです。それでは久々にいきますね『アースウェイブ』」
久々の戦闘で気持ちがはやったのか、ヒカリンが先制のスキルを発動し、右側の地竜の動きを封じ込める。
どうやら地竜であっても『アースウェイブ』は有効のようだ。
「ベルリアとあいりさんで左側のをお願いします!」
右側の地竜は足を取られて完全に動きが止まっているので、左側の地竜を二人に任せて俺が一人で担当する。
一瞬このまま近づいてバルザードで首を落とそうかとも考えたが、無理をする必要も無いと考え直し『ドラグナー』を構えて狙いを定める。
地竜はその場から迫ってくる事は無かったので、余裕を持って頭部に狙いを定めてトリガーを引く。
蒼い糸を引いた銃弾が一直線に地竜の眉間を撃ち抜き消滅へと追いやった。
動かない敵への攻撃は思った以上に容易く、あっさりと勝負がついてしまった。しばらくヒカリンのサポート無しで探索を続けていたけど、ヒカリンのスキルは改めて凄いと思ってしまった。おそらく今のが、この階層で一番労力無く倒せたと思う。
「あいりさん、避けてください!『ファイアボルト』」
俺が、地竜をあっさりと倒した余韻の浸る間も無く、ヒカリンがもう一体の地竜に向けて炎雷を放った。
「ガァァアアア〜」
ヒカリンの放った炎雷は、地竜の首元に着弾し、地竜の強固な外装を破り内部へとダメージを与える。
「あとは私に任せろ!『斬鉄撃』」
炎雷を受け、ベルリアとあいりさんから注意のそれた地竜に向け、あいりさんが渾身の一撃を放ち、とどめをさした。
見事な連携だったが『ファイアボルト』ってこんなに強力だっただろうか?