A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (703)
第695話 ヒカリンとパーティの再編成
「ヒカリン、気のせいかもしれないけど魔法の威力が上がってるような気がするんだけど」
「はい、以前は病気のせいで、ステータス通りの力を出せていなかったんです。それがティターニアちゃんのおかげで、本来の力を発揮できるようになったみたいです」
「ああ、それでか……」
以前のヒカリンはある意味全力では無かったという事か。
いずれにしても、ヒカリンがいきなりレベルアップしたようなものなので、パーティとしては非常に助かる。
そもそも、ヒカリンが戻って来ただけで、戦闘効率が格段に上がった。
ヒカリンがいない間はミクが一人で後衛を担当してくれていたが、後衛の重要性を改めて認識させられた。
午前中はそのまま十七階層を探索し、ヒカリンも十分やれる事が確認出来た。午後からはいよいよ十八階層に潜る事になったので『ゲートキーパー』を使い十八階層へと向かった。
「ヒカリン、十八階層は、入り口に入っただけで、俺達もまだ一度も戦闘は経験していないんだ。だから特に慎重にいこう」
「わかってます。大丈夫なのです」
俺とベルリアを先頭にして十八階層の探索を開始する。
十八階層のフィールドは特段変わった様子は見られない。十七階層と比較してもあまり違いは感じられない。
少しだけ天井や道幅が狭い気がするくらいだ。
「ご主人様、早速敵モンスターです」
「何体だ?」
「四体だと思われます」
「四体か……それじゃあ、あいりさんも前で、シルとルシェも危ないようならすぐにスキルを発動してくれ」
初見の敵なので、慎重にいくに越した事は無い。
そして十八階層に臨むにあたって午前中の戦いで少し修正した事がある。
それはティターニアの扱いだ。ティターニアは直接攻撃のスキルを持たない為に『ウィンガル』を使用する以外は、何もする事が無く今一つ戦力化出来ていなかった。
だがティターニアもかなり上位に位置するサーバントのはずなので、このままではあまりに勿体ないと思い試しに『ドラグナー』をティターニアに持たせる事にしたのだ。
攻撃魔法を持たないティターニアに『ドラグナー』が使えるかどうか心配だったが、結論から言うと使えた。
残念ながらと言うか当然ながら『キュアリアル』では発動しなかったが『ウィンガル』の魔法でドラグナーは発動し、放たれた弾は俺の時の様な蒼い光の糸を引く事は無かったが、明らかにスピードを増し、瞬時に敵モンスターを捉えた。
これにより、BP66のティターニアによる後方からの攻撃支援が増える事になり、さらにパーティの戦闘が安定した。
俺は『ドラグナー』の代わりに、予備で残していた魔刀を左手に持ち、ベルリアと同じ二刀使いと化していた。
バルザードは剣なので、左手の魔刀と比べると左右の見た目は少しバランスが悪いが、バルザードの剣身が短いので重さのバランスは悪くない。
ドラゴン相手であればバルザードの飛ぶ斬撃を使い『ドラグナー』無しの戦闘にも十分対応出来ていた。
後は十八階層の敵にもこのスタイルで臨むが、十七階層の時よりも確実にパーティとしての戦力はアップしているので、後は俺がこの二刀流に慣れる必要がある。
ダンジョンを真っ直ぐに歩いて行くと、十八階層のモンスター四体がこちらを向いて待ち構えていた。