A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (704)
第696話 十八階層の敵
「こいつらは……スケルトンか?」
眼前に待ち構えていたのは、先週まで野村さんと二階層で相手をしていたスケルトンに酷似しているが、大きく違う点もある。
二階層のスケルトンは、傷んだ武器に剥き出しの骨格だったが、この四体のスケルトンは頭部こそスケルトンのそれが見て取れるが首から下はフルアーマーに身を包み、手に持つ剣はいかにも斬れ味が良さそうな感じにピカピカだ。
フルアーマーによりスケルトンの弱点がほぼ隠されてしまっている。
「ただのスケルトンが十八階層に出るとは思えないのです。先に仕掛けましょう。先制攻撃なのです『アースウェイブ』」
ヒカリンがスケルトンの一体を『アースウェイブ』でその場へと縛り付ける。
「あいりさん、ベルリア行きますよ」
三人でスケルトン四体へと向かうが、スケルトンの一体がこちらに向かって剣を振るった。
なんだ? 素振りか?
「マイロード!」
ベルリアの声に嫌な感じを受けて咄嗟に横へと回避する。
避けた横を風切り音が過ぎていく。
これは、飛ぶ斬撃か!
「こいつ斬撃を飛ばしてくる!」
やはり普通のスケルトンでは無かった。これは不用意に近づけない。
俺達は、一旦その場の止まり、スケルトンの動きを見ながら慎重に距離を詰める。
『サンダースピア』
後方からミクの声がして、先程剣を振るったスケルトンに雷の槍が命中する。
鎧が帯電して光を放ち、スケルトンの動きが止まるが、消滅には至っていない。
更に距離を詰めながら様子を伺うが、動きを止めたスケルトンは、時間と共に動きを取り戻したようで、剣を構え直した。
鎧に何かしら魔法耐性効果があるのか『サンダースピア』が効かないとなれば、他の魔法での攻撃も怪しい。
今度は『アースウェイブ』に足を取られているスケルトンがこちらに向けて手をかざしている。
なんかやばい!
俺は咄嗟にバルザードを上げて頭部を守ろうとするが、それとほぼ同時にスケルトンから雷の玉が放たれ、俺の横を抜け後方へと飛んでいった。
はずれた?
「させません!」
後方からシルの声が聞こえてきたので、振り向くとミクの前にシルが立ち雷の玉をラジュネイトで撃ち落としているのが見えた。
「シル様助かりました」
今の攻撃は明らかにミクを狙った攻撃だった。仲間を『サンダースピア』で攻撃したミクへの報復攻撃。しかも同じサンダー系の魔法。
このスケルトンは飛ぶ斬撃だけで無く魔法まで使えるのか。
差し詰めスケルトンマジックナイトとでも呼ぶスケルトンの上位種か。いずれにしても遠距離攻撃を操るこいつらと、距離を置いて戦うのは得策ではない。
「シルは『鉄壁の乙女』でミクとヒカリンを守れ! ルシェ、遠慮は無しだ。頼んだぞ!」
俺は様子見をやめ、気配を薄め全速力でスケルトンマジックナイトへと駆け出す。
ベルリアとあいりさんも俺に続いてスケルトンへと向かうが俺達三人に向けて魔法が放たれる。やはり四体共に魔法が使えるようだが突っ込んで避ける。