A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (705)
第697話 スケルトンマジックナイト
交戦し始めて、それほど時間は経過していないが、おそらくこのスケルトンマジックナイトの魔法は低級なものだけな気がする。
今のところ使って来ているのはファイアボールに類する直線的な攻撃魔法に限定されている。
最初距離を詰めている時に魔法を放たれてかなり焦ってしまったが、直線的な魔法であれば今の俺なら十分対応できる。
そして俺ができると言うことは、もちろんあいりさんもベルリアも出来る。
四体から放たれる、魔法と斬撃を躱しながら向かって行き、ようやく剣の届く位置まで来た。
右手に構えるバルザードを振るい、スケルトンに斬りかかる。
「ギィイイン」
スケルトンは手に持つ剣で、バルザードの一撃をあっさりと受け止めてしまう。
通常のスケルトンの動きであれば、今の一撃で決まっていたはずだが、明らかに通常のスケルトンよりも動きがスムーズで速い。
スケルトン特有の、ぎこちない動きが一切見られず、熟練の剣士の様に流麗な動きだった。
力比べになるとやはりモンスターであるスケルトンの方が遥かに強く、押し切る事は出来ず、このままでは、寧ろ力押しで俺の方が斬られてしまう。
俺は左手に持つ魔刀でスケルトンの右側面を斬りつける。
魔刀もかなりの重量があるので地上であれば、左手一本で振るう事は難しいと思うが、今の俺のステータスなら問題無く振れる。
手に持つ剣で俺と力比べをしているスケルトンには、魔刀の一撃を防ぐ事は出来ず俺の二撃目が、スケルトンの脇腹を捉えるが、身に纏う鎧は伊達では無く、刀による一撃は硬質な金属の壁に阻まれた。
硬い!
「くぅっ」
バルザードでは無いので、意識をのせても鎧が斬れる事は無いが、集中すると刀身が帯電し始めて火花を散らす。
魔刀の力によりスケルトンは硬直し、先程まで押し込んで来ていた剣の力が弱まった。
その隙を突いて、バルザードに意識をのせて、スケルトンの胴体を一気に切断し、地面へと落ちた頭蓋へ魔刀を突き立て消滅させる事に成功した。
突き立てる際に、鎧の断面内部が見えたが、中はやはり骨だけで空洞だった。
魔刀の帯電による、電気ショックが金属製の鎧を伝い、スケルトンの動きを鈍らせたのは間違い無いが、骨だけのスケルトンに電気ショックが効果がある理屈はよくわからない。
やはりモンスターに地上の常識は通じないのだろうが、やはり十八階層だけあって強い。
「鎧をつけていようが、所詮はただの骨だろ。さっさと燃えて灰になれ『破滅の獄炎』」
ルシェの獄炎が『アースウェイブ』で足止めされていた、スケルトンを包み込み燃え上がった。
「やっぱり骨はよく燃えるな」
確かにルシェの獄炎は鎧など問題では無い様で、よく燃えている。スケルトンもひとたまりも無くあっという間に燃え尽きてしまった。
ただ、どうせなら動け無い相手では無く他の二体を燃やして欲しかった。