A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (708)
第700話 アンデッド
「あれってゾンビか?」
「グールじゃない?」
「腐った死体なのです」
「どちらにしてもアンデッドなのは間違い無いな」
「そうですね。動きはゆっくりしてますけど強そうには見えませんね」
こちらに向かって来ているのは所謂ゾンビの一種の様に見えるが、明らかに動きは緩慢でゆっくりとこちらに向かって来ている。
これならスピードで押せば問題無く倒せそうだ。
「ミク、あれっておかしく無いか?」
「そうね、どう見ても普通じゃ無いわね」
アンデットは徐々に俺達の方へと向かって来ているが、近づくにつれその容貌がはっきりとしてきた。
俺の目に映るアンデッドは大きさが俺達と同じぐらいあるが、まだ距離は結構遠い。
最初は気が付かなかったが、あのアンデッドは明らかに大きい。どう考えても人の大きさを超えている。
「トロール?」
「どう見てもオークよりは大きいわね」
ゆっくりに見えたその動きも、そのサイズが加わるとそれなりの速度が出ているようにも見える。
「ミク、ヒカリン!」
「そうね、待ってやる必要もないわね『ライトニングスピア』」
「いくのです『ファイアボルト』」
少し距離はあったが的が大きいので二人の魔法がモンスターに命中する。
二人の魔法は確実にゾンビにダメージを与え、その身を焦がした。
「やっぱりゾンビって痛みを感じないのかな」
「そうね。完全に倒す必要があるのかも」
ゾンビは魔法によるダメージをうけているにもかかわらず、全く動じた様子無く近づいてくる。
「ベルリア、あいりさん!」
俺はゾンビに向かい走り出す。
表面が腐食して分かり辛いが、やはりこの感じと大きさはトロールがゾンビ化した個体に見える。
それであれば、ゾンビ化で倒し難くなっているとは言え問題ないはずだ。
俺は走りながらゾンビの足を狙いバルザードの斬撃を飛ばす。
先程と同じ様に斬撃がゾンビにダメージを与え肉を穿つが、切断するには至らずゾンビの動きは止まらない。
『ブラックブレイド』
俺の攻撃に続きベルリアがスキルを発動し、黒い刃がゾンビの頭部を抉るが、痛がる素振りを見せず動きも鈍った様子は無い。
やはり、このゾンビは痛みを感じていない。
痛みを感じていない所為で、肉体的ダメージを与えても弱っている様子が無い。
この手のモンスターは首を落とすか細切れにするしか無いが、首の位置が俺の手の届く場所には無いので徐々に削っていくしかない。
『アイアンボール』
あいりさんが鉄球をゾンビの頭部へと叩き込む。
鉄球が顔面へとめり込み、一瞬動きが止まるが再び歩き出す。
「ヒカリン!」
「任せてください『アースウェイブ』」
ヒカリンのスキルでゾンビの動きが鈍る。
俺とベルリアはそのままゾンビへと突っ込み、左右から足に斬り込み、手元に十分な手応えはあるが、やはりまだ足りない。