A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (713)
第705話 ヴァンパイアに勝つ
奥ではベルリアがヴァンパイアとの戦闘を続けていたが、いつの間にかスナッチも参戦している。
ヴァンパイアは俺の相手と同じく、ベルリアと交戦しながら小型の雷を発動しているが、ベルリアは素早い動きで全て躱している。
スナッチは魔法の発動の直後を狙って『かまいたち』を発動する。
風の刃がヴァンパイアを刻むが、すぐに傷が修復してしまっているのが見える。
『アクセルブースト』
ベルリアの右手で振られた魔刀が加速してヴァンパイアの左腕を捉え、斬り落とす。
「ガァアアア!」
ヴァンパイアの叫び声が響き渡るが、魔刀の効果で斬り落とした腕の断面が燃え上がるが、腕が再生する様子は無い。
どうやら燃えた傷口が再生する事は無いようだ。
片腕を失ったヴァンパイアはベルリアとスナッチの敵では無く、最後はあっさりとベルリアに首を刎ねられて戦闘は終了した。
「マイロードお待たせしました」
「いや、待ってないから大丈夫だ」
「それよりマイロード、もしかして怪我をされているのでは無いのですか?」
「ああ、さっきの戦闘でヴァンパイアに自爆攻撃を受けてしまったんだ」
「ヴァンパイア如きがマイロードに傷を負わせるとは。すぐに治療いたします『ダークキュア』」
ベルリアがスキルを発動すると、皮膚の焼けるような痛みがスーッと引いていくのがわかる。
「ベルリア助かったよ」
「このベルリア、マイロードのお役に立てるとは感激の極み。このぐらい当然の事です」
ベルリアの言い回しがいちいち大袈裟だが気にしていたら疲れてしまうので軽く流しておく。
それはともかくベルリアの『ダークキュア』はHPが劇的に回復するわけではないが、傷が治癒するので本当に助かる。名前はともかく低級ポーション一本分が丸々浮くのでそれだけで価値がある。
前衛で頑張ってくれているベルリアだが、その事と同等以上に回復役として欠かす事が出来ない存在となっている。
「海斗危なかったわね。もうちょっとで直撃してたんじゃない?」
「まさかあの距離で魔法を発動してくるとは思って無かったから反応が遅れてしまったんだ」
「やっぱりヴァンパイアは曲者ね」
「なんか勝手にヴァンパイアはスマートなイメージを持ってたけど、この前のブーメランパンツといいイメージが大分違うな」
「そうね。伯爵とかそんな感じじゃないわね」
「いずれにしても強いのは間違い無いから、次からも十分注意していこう。さっきのを見る限り、炎が弱点な気はしたけど」
「そうね。次は私も『スピットファイア』を連発してみるわね」
「ああ頼んだ」
俺達は、ヴァンパイアの魔核を二個回収してその場で小休止する事にした。
「海斗! 早くしろよ」
「わかってるって」
俺は小休止の間にサーバント四人それぞれに対しスライムの魔核を渡しておいたが、やはり四人は地味にキツい。
まあ今回ティターニア以外は十分に活躍してくれたから何も言えない。