A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (720)
第712話 新たな噂
週末の探索を無事に終えて、学校に登校しているが、教室に着くと隼人が話しかけてきた。
「海斗、今何階層潜ってるんだ?」
「十八階層に潜ったばっかりだけど」
「十八階層か……」
「それがどうかしたのか?」
「いや、十八階層なら大丈夫かな〜」
「いやだからなんの話だよ」
「聞いて無いか? 最近探索者が結構襲われて被害が出てるみたいなんだ」
「襲われて?」
探索者が襲われるってどういう意味だ?
「いや、襲われるって言い方はあれかもしれないけど、十階層台まで行ってる探査者パーティが全滅したり、戻ってきても再起不能になってるケースが増えてるらしいんだ」
「十階層を超えたパーティだとアイアンランク以上だろ? そうそう無茶しなきゃボス戦以外で全滅ってあり得るのか? しかも複数か?」
「ああ、だから、何かおかしいって噂が広まってるんだ」
「モンスターの種類はわかってるのか?」
「それが、はっきりしないんだ」
「はっきりしないってそんな事あるのか?」
「噂の中にモンスターの種別は一切はいってないんだ」
やはりこの噂話はガセの可能性が高い気がする。
本当にそんな事が起こっているなら、襲われた当事者たちが相手のモンスターを認識していない事などあるはずがない。
それがモンスターの情報が無いという事はただの噂話に過ぎないという証明だろう。
「そういえば隼人たちは今何階層なんだ?」
「それが今十二階層なんだ。ちょうど十二階層も今回の話の中に出てきてたから、ちょっとびびってるんだ」
「大丈夫だと思うけどな〜。それより十二階層いけそうか? 俺もあの階層は苦労したよ。小さいくせに強いだろ?」
「やっぱりな〜海斗も苦労したのか。イライラするけど気を抜くとやられそうになるし酷いエリアだよな」
隼人たちも十二階層まで進んでいるのか。かなりやり込んでないと、そこまで到達していないと思うので、相当熱心にダンジョンに潜っているのがわかる。
「それともう一つ噂があって『黒い彗星』が新しい幼女を連れていたって話しなんだけどな」
「…………」
「前話してくれてたサーバントか?」
「そうだろうな」
「ピンクの髪か?」
「そうだな」
「それ……噂になってるぞ」
「…………」
また俺達を見た誰かが、根も葉もない噂を流したのか。
「『黒い彗星』は老若男女なんでもいけるって。その中でも特に幼女がお好きらしいって噂だ」
「隼人! 絶対に学校では他の人にその話をするなよ!」
「わかってるって」
「俺は絶対に幼女は無理だからな! しかも老も男も無理だ!」
「老はよくわからないけど男は師匠のことだろうな」
「ベルリアかっ!! そんなことあるわけないだろ!」
「もちろん俺はわかってるけど噂って怖いよな。俺も気をつけないと」
また俺の知らないところでとんでもない噂が立っていた。
完全なるガセ。
やはり噂ほど当てにならないものはないと痛感させられた。
恐らくダンジョンの件もただの噂だろう。
それにしても誰が流しているのかはわからないが、頼むから知らないところで俺の噂をするのはやめてもらいたい。