A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (721)
第713話 妙な気配
今日からまた一階層でスライム狩りに励まないといけない。
なにしろ俺には燃費の悪いサーバントが四体と魔核を消費する魔剣があるからだ。
レベルアップしてランクが上がると共に魔核の消費量が格段に増えてきた。
俺がしっかり働かないとあっという間に破綻してしまう。
サーバントの面倒を見るのは主である俺の義務とも言えるので、スライム狩りに集中する。
「それで探索者のパーティがいくつか壊滅してるって噂なんだ」
「はん、そんなのよくあるただの噂だろ。いちいち聞いてたらきりがないな」
「まあ、そうだよな」
「…………」
「シル、どうかしたのか?」
「その噂と関係あるかどうかはわかりませんが、最近妙な気配のようなものを感じることがありました。気のせいかとも思ったのですが、もしかしたら……」
「妙な気配って?」
「それが、はっきりとはわからないのですがモンスターとは違う感じでしたが、おそらく一体だけではないと思います」
「ベルリアは何か感じなかったのか?」
「マイロード、私は何も……」
「そうか、う〜ん」
ベルリアも感じることのできない妙な気配か。今回の噂と関係があるのか?
「おい! ベルリアに聞いてなんでわたしには聞かないんだよ!」
「だってルシェはなにも感じないだろ。聞くだけなぁ」
「くっ、失礼なやつだな!」
「じゃあなにか気がついたのか?」
「あ、あぁ、妙な気配だ! 妙な気配があったぞ!」
「本当か?」
「も、もちろんだ!」
これは完全に嘘だな。見栄を張って嘘をついたな。
「あ……の、マスター。わたしも妙な気配を……感じました」
「そうなのか? ティターニアも感知能力があったのか?」
「いえ……そんなんじゃない……です。精霊が……騒いで……」
精霊が騒いでいる?
「ティターニアは精霊が見えるのか?」
「はい。小さな……子たちだけですが」
精霊にも小さい大きいがあるのか。ティターニアはフェアリークイーンだから精霊も見えるんだな。
だけどティターニアもなにか感じていたなら、シルの言っていることは間違いないのだろう。
その妙な気配っていうのが探索者を襲った相手なのか?
シルはモンスターの気配じゃ無いって言っているが、じゃあ一体なにが探索者を襲っているんだ?
「ご主人様、スライムです」
「ああ、わかってる。くらえ!」
俺は現れたパープルスライムに必殺の殺虫剤ブレスを放つ。
レベル補正を受けた殺虫剤ブレスはあっという間にスライムをしとめた。
「ご主人様さすがです。もうスライム退治においては右に出るものはいないのでは無いかと思います」
「そうかな」
「ふん、海斗みたいに毎日スライム狩ってる奴が他にいないだけだろ」
「姫、スライム狩りにおいては私でもマイロードには敵わないのです。マイロードはスライム狩りのスペシャリストと言っても過言ではありません」
シルとベルリアの評価は、喜んでいいのか?
自分でもスライム狩りはかなり極まってきたとは感じているが、スライム狩りを極めたところで所詮はスライムだからな〜