A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (73)
第73話 攻撃は最大の防御?
俺は、なんとかゴーレム2体を撃退する事に成功した。
成功はしたが、かなり危なかった。盾とバルザードの組み合わせの相性が悪いのか、思ったほどうまくいかず、更にはゴーレムの一撃を盾越しとはいえモロにくらってしまった。例え盾があっても、あれを無傷でいなす事は、今の俺には難しいだろう。
やり方を再度練り直すしかない。と言っても手札は殆どない。
盾がダメなら矛。どうせ効果が薄いなら盾はこの際置いておいて、攻撃と回避に比重を置くしかない。
幸いゴーレムはモンスターの中でも動きは遅い方なので、注意して距離感さえ間違わなければ、避けることは可能だ。
とにかく攻撃は回避するしかない。
攻撃はバルザードメインだが、一刀流では回数制限や敵が多数の場合の手数の面で心配だ。
タングステンロッドとの2刀流も考えてはみたが、そもそもタングステンロッドは両手持ち用で結構重い。今のステータスなら片手で振れなくもないが、無理に振っても威力は極めて弱い。
なので候補からは除外される。
消去法的に魔核銃と、ウォーターボールが残るが、ウォーターボール一発分は既に魔氷剣に使用しており、発動する場合、多重発動となる。以前、連発による多重発動を試した事がある。
結論から言うと出来ることは出来る。但し、異常に精神力を削られる。MP以上の負担があるので、動き回りながら連発するのは現実的に厳しい。
なので魔核銃に頼るしかない。
ゴーレムに対しては威力が足りないので、メインウェポンにはなり得ないが、左手に構えて盾の代わりに、牽制と攻撃をそらす事のみに使用する。これしか思いつかない。
剣と銃の二刀流、厳密には刀ではないので違うのかもしれないが、右手にバルザード、左手に魔核銃のスタイルだ。
敵に遭遇する前に両手に武器を持った状態で素振りや試射を何度か繰り返す。どちらも軽いので、片手で扱う事に問題はない。あとは実践しかない。
「ご主人様、後方にモンスターが3体います。気をつけてくださいね」
今度は後ろからブロンズゴーレムが3体現れた。3体ともこちらに向かって突進してきている。
「シル、念のため『鉄壁の乙女』を頼む。ルシェ一番左のゴーレムだけ頼む。俺が残りの2体をみるから、やばそうになったらフォロー頼むな。」
そう指示を出すと同時に2体のゴーレムに向かって魔核銃を発砲、突進をストップさせる。
よく考えると『鉄壁の乙女』の範囲まで引き付ければよかったかもと思ったが、後の祭りなので今更変更もきかない為、このまま戦闘を続ける。
右端のゴーレムに近づいて至近距離から、魔核銃を発砲する。
「プシュ」
ダメージは大して与えられないが、至近距離からバレットを受けてゴーレムの注意が大きく逸れる。隙だらけになったところを思い切って踏み込んで袈裟斬りにする。イメージは切断。殆ど抵抗を感じないままゴーレムの胴体が崩れ落ち消失。
もう一体の方にすぐ向き変えて、再度近距離射撃を頭に向けて敢行する。
「プシュ」
やはり、ダメージが足りなくても、近距離射撃は、かなりインパクトはあるようで、腕で頭をガードしてきた。
思い切って、腕ごと切断を試みる。先程と同じくイメージを重ね。頭部をめがけて横薙ぎに一閃する。
驚くほど、抵抗感なく腕と頭が切断され、そのまま消失してしまった。
魔氷剣ちょっとすごいかもしれない。まさに魔法剣。カッコいい。
完全に思いつきで開発に至った魔氷剣だが、めちゃくちゃ使える。威力も申し分ない。
色々と制限はあるが、それを補っても余りある性能だ。
ただし、残念な事に時間制限があるので常用の武器としては使用できない。
「よし、今度はうまくいったから、次に行ってみよう。シル頼んだぞ。」
俺は、先程の感覚を忘れないように、次のゴーレムを探すことにした。