A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (730)
第722話 ダンジョン飯
ベルリアが蹴りをもろに受けて後方へと弾かれ膝をつく。
「ベルリア!」
俺はバルザードを振るい斬撃を飛ばす。
バルザードの斬撃がキョンシーに直撃しベルリアへの追撃をとどめる。
その間に俺もベルリアの方へと走る。
「申し訳ございません。このベルリアあのようなふざけた相手に不覚をとるとは。それにしてもあれはなぜ動けるのです? 顔にはおふだを貼ったというのに」
「あ〜それは多分、ハズレだ。交通安全のおふだがハズレだったんだと思う。俺の安産祈願のおふだもダメだったから」
「ハズレだったとは……気を抜いた私の落ち度、お手を煩わせて申し訳ございません。もう二度とこのような事のないよう今後は細心の注意を払います」
ベルリアと会話をかわしている間にキョンシーが再び攻撃を仕掛けてきたので俺がベルリアの前に立ち応戦する。
「ベルリア、いけるか?」
「マイロードもちろんです」
ベルリアがその場から立ち上がり、参戦しようとしたその時キョンシーの頭を加速する銃弾が捉えて弾けた。
「あ……」
突然の事に俺とベルリアは言葉を失うが、すぐに現状を認識する。
この攻撃はドラグナーによるものだ。ティターニアがフォローしてくれたのか。
頭部にダメージを負ったキョンシー目掛けて俺とベルリアが剣を振り下ろして消滅へと追いやった。
残りの二体に目をやると、一体は獄炎により炭と化し、もう一体もあいりさんが片をつけていた。
どうやら俺たちが最後だったようだ。
「ティターニア助かったよ」
「はぃ……お役に立てて、よかった……です」
「次からもフォロー頼んだぞ」
「わかりました」
それにしても今回ちょっと危なかった。
全てはおふだのせいだ。安産祈願と交通安全のおふだが全く効果を発揮してくれなかったせいで、隙を突かれて俺とベルリアがピンチに陥るところだった。
「あいりさん、安産祈願と交通安全はダメでした」
「そうなのか。家にあったのを適当に持ってきただけだからな、わるかった」
「別にあいりさんのせいじゃないですよ」
とりあえず、おふだに頼りすぎるのは良くないのは間違いない。
4つの魔核を回収してから、スライムの魔核をシルたちに渡して先へと進む。
「ベルリア、次はおふだ無しでいった方がいいと思う」
「マイロード承知しています。やはり私にはこの魔刀しかありません。刀こそ私の本分。どんな敵であろうとこの魔刀で斬り伏せてみせます」
おそらくスペクターは刀では斬れないと思うが、まあなんとかなるだろう。
その後何度か戦闘を繰り返しながら進み、お昼ご飯を取る事にした。
今日のご飯はいつもと違う。
今日のお昼ご飯はコンビニの唐揚げ弁当だ。
結構ボリュウムがあるのに値段が三百九十円だったので思わず買ってしまった。
いつもはおにぎりとパンで三百円程度なので少しだけ奮発したが、食べてみて奮発した甲斐があったことを確信した。
さすがに揚げたてではないので衣はふにゃふにゃだが、冷めていても味がしっかりついていておいしい。
ダンジョンで動いた後だけにこの強い塩気がたまらない。
これはダンジョン飯の定番化確定だ。
今まで安くてお手軽なパンとおにぎりに拘ってきたが、これを機会に他のものもいろいろ試してみるのもいいかもしれない。