A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (733)
第725話 デュララ
ターゲットを首無しの馬と馬車に定め、攻撃に移る。
「馬車ならこれで動きが止まるはずなのです『アースウェイブ』」
馬と馬車の足下にぬかるみが発生する。
馬が抜け出そうと足を大きく上下させているが、自重と馬車の重さも加わり完全にハマっていっている。
スタック状態になった馬車に向けミクがスピットファイアで炎弾を放ち、馬車を破壊しながら燃え上がらせる。
背後に炎が迫った首無し馬が、逃げようとして暴れるが『アースウェイブ』の効果で抜け出すことは叶わず、尻尾へと炎が燃え移るのが見える。
デュラハンも同様に馬車の炎から逃れる為に馬車から地面へと飛び降りた。
「マイロード、あれは私におまかせください」
さっきから活躍できていないからか、ベルリアが名乗り出てデュラハンと対峙することになった。
俺たちは、残った首の無い馬を相手にすることにするが、炎に背を焼かれ既に瀕死となっている。
「私がとどめをさすわね『ライトニングスピア』」
ミクが雷の槍を発動するとあっさり馬は消え去った。
思いの外2台目の馬車も簡単に消し去ることができたが、この階層に出てくるモンスターが他のモンスターに比べて極端に弱いとも思えないので、単純に相性が良かったのかも知れないが、頭が無いせいで考えて戦う事が苦手なのかもしれない。
ベルリアは光のサークルの外に出てデュラハンと対峙している。
二刀のベルリアに対して大剣のデュラハンの構図だが、身体のサイズ以外はなんとなく悪の騎士繋がりで似ている気もしなくもない。
「そのようななまくらでマイロードから賜ったこの魔刀二本の相手ができると思うな。さっさと刀の錆にしてくれる」
ベルリアが一気に間合いを詰め、デュラハンへと斬りかかる。
ベルリアの攻撃に対して大剣を振るい、デュラハンも応戦するが、小さな身体も手伝い大剣ではベルリアを捉え切ることはできない。
ベルリアの剣速が更に上がり、デュラハンの防具のない部分が刀傷で埋められていく。
このまま勝負が決するかと思ったが、デュラハンが大剣を最上段に構え、一気振り下ろすと、剣圧で足下の地面が割れた。
「なんて威力だ。あれは当たるとやばいな」
ベルリアが一方的に押していたのでデュラハンもそこまで強いようには見えなかったが、剣圧で地面を割るとか漫画並みにやばい敵だ。
くらえば防具があったとしても、生身の肉体が無事で済むとは思えない。
「そのような大道芸、当たらなければいいだけ。愚かですね」
ベルリアは全く怯むことなく、更に攻撃を加えていく。
今度はデュラハンが大剣を横凪に振るったのをジャンプして躱し、そのまま攻撃を加える。
『アクセルブースト』
ベルリアの炎の魔刀がデュラハンの胸部へと突き刺さる。