A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (734)
第726話 コシュタバワー
ベルリアが、デュラハンの胸に刺さった剣を引き抜き後方へと一旦下がる。
人間なら即死だが、デュラハンもアンデッド属性なので一撃では倒すことはできない。
ただダメージはあるようで、明らかに動きが鈍った。
それを見て、ベルリアが再び踏み込んで斬り込む。
デュラハンも大剣を振るうが、ベルリアのスピードには及ばない。
『アクセルブースト』
ベルリアが必殺の一撃を放ちデュラハンを斬り伏せた。
「それなりに剣に覚えがあったようですが、所詮は力押し。技の前には無力。フッ、修練が足りなかったようですね」
まあ、今回はベルリアのセリフに間違いは無いので特に言うことはないがベルリア、カッコいいとはどういうことなのか勉強した方がいいな。
そのセリフはどう考えてもカッコ悪い。
馬と馬車はともかく、ベルリアとのやり取りを見る限りデュラハンもそれなりに強かった気がする。俺が相手なら結構苦戦したかもしれない。
「あ〜っ、コシュタバワーだ! 思い出した」
「コシュタバワー? ミク、いったいなんの話?」
「あの馬と馬車よ」
「馬車?」
「そうよ、デュラハンの乗る馬車。コシュタバワーって言うのよ」
「コシュタバワーってなんか言いにくいな。舌噛みそう」
「海斗、ある意味ネームドの馬車よ。馬車の中ではトップランカーよ」
「ネームド……」
ミクは熱くコシュタバワーについて語ってくれるが、俺からすればあっさりと大破した気持ちの悪い馬車でしか無いが馬車にランクなんかあるのか?
「そうだぞ海斗、コシュタバワーだ。デュラハンと共に一度は見てみたいと思っていたんだ」
あいりさんもか。コシュタバワー人気だな。
「マイロード、このベルリアの活躍ご覧いただけましたか?」
「ああ、デュラハンを圧倒してたな」
「はっ、ありがたきお言葉」
「わかってるよ。今回は活躍したから魔核な」
「はっ、このベルリア、マイロードの剣として更に精進いたします」
魔核節約のためにベルリアには、普段少し我慢してもらっているので今回はきちんと魔核を渡しておく。
「デュラハンは思っていたのと少し違ったのです。もっとカッコよくて強いかと思っていたのです」
「いや相性が良かっただけで結構強かったと思うけど」
「だって頭がなかったのです。普通頭を抱えてるものです。頭がないせいで顔もわからないうえに、言葉も発しなかったのです。本来渋いおじさま顔だったりするのにがっかりなのです」
それは俺も思ったが、アニメとリアルは違うということだろう。
この日はもう一度デュラハンが出現したが、やはり頭は持っていなかった。
コシュタバワーは同じように『鉄壁の乙女』の光のサークルに衝突して大破したので、やっぱり頭がないせいであまり見えてないのかもしれない。