A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (741)
第733話 バンシーの扱い方
「バンシー強かったな〜今度からダンジョンで泣いている女の人は要注意だな」
「当たり前でしょ。ダンジョンの十八階層で泣いてるなんて怪しすぎよ。しかも泣き方も下手だったし」
「そうだったかな」
「あれで騙されるのは海斗ぐらいなんじゃない? いくらモンスターでも今の時代にやり方がステレオタイプすぎよ」
「そんな事はなかったと思うけど」
普通ダンジョンで女性が泣いていたら気にするだろう。
多分男子高校生としては一般的な反応だったと思うが、他のみんなの反応を見るかぎりそうでもなかったらしい。
「おい、海斗、あんなの全然大したことなかったんだからな。わたしの流星雨で瞬殺だ! 瞬殺!」
確かに瞬殺だったが、ルシェが流星雨を使用する事自体が、バンシーが強敵だった証拠だ。
ベルリア同様ルシェの負けず嫌いも相当だな。
悪魔はみんな負けず嫌いなのかもしれない。
「それにしてもあのスケルトンの鎌凄かったな。まさかルシェの獄炎を斬り裂くとは思っても見なかった」
「マイロード、おそらくあれも魔剣の一種。いわゆる魔鎌でしょう。そうでなければ姫の獄炎を斬ることなどできません」
「魔鎌か、さすがにあれがドロップしても売るしかないかもな〜。あれは使いこなせないんじゃないか」
「いえ、もしドロップすることがあればこのベルリアに!」
「ベルリアは鎌も使えるのか?」
「使ったことはありませんが、必ず使いこなして見せます」
これはいつものベルリアのクレクレ病だな。
どう考えても身長の低いベルリアがあの大鎌を二刀よりも使いこなせるとは思えない。
「だけどバンシーの透明化は厄介だな。正直どう対処すればいいのか分からない」
「そんなの簡単だろ。また『炎撃の流星雨』を使えばいいだけだろ」
「ルシェ、さっき使っちゃダメだって言ったばっかりだろ」
「は〜い」
やっぱりわかってなかった。
「一番は、またスナッチに『ヘッジホッグ』を使ってもらうのがいいんじゃない?」
「確かに攻撃は当たったけど、その後がな〜」
「スナッチの『ヘッジホッグ』で攻撃して場所を特定したと同時に、他のメンバーも攻撃するのがいいと思うわ」
「まあ、それがいいかな。今回のでバンシーの動きもわかったし次はもう少し上手く対応できると思うしな」
「海斗、もし次にこの階層で泣いている女性を見つけたら問答無用で首を刎ねるのがベストだろう」
「あいりさん、攻撃の前に絶対に顔は確認してくださいね。絶対ですよ!」
「わかってるよ」
本当にわかっているのか?
みんなが言うようにこの階層で泣いている女性はまず間違いなくモンスターだろう。
だが万が一間違いがあったら取り返しがつかない。
顔を見て人間かどうかを確認するのは絶対に必要なことだ。
少々危うい発言もあったが、魔核を拾い探索を続け、その後は泣く女の人に会うことも無く、無事に一日の探索を終えることができた。