A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (742)
第734話 誘ってみる
翌朝、学校へと登校していつものように授業に集中する。
お昼休みを迎えたので思い切って春香を誘ってみる。
「春香、ちょっといいかな」
「うん、どうかしたの?」
「最近、ダンジョンが忙しくて時間がなかったんだけど、今週はペースダウンしようかと思ってるんだ」
「うん、そうなんだね」
「それで、もしよかったら、一緒にカフェでもどうかなと思って」
「うん、行く。一緒に行こう♪」
春香が満面の笑みを浮かべてOKしてくれた。
どうやら誘ったのは間違いではなかったみたいだ。
何度誘っても、誘う時には緊張してしまうし、今回のように間隔が空いてしまうと、余計に誘い辛くなってしまう。
「それと、今年受験だからよかったら、一緒に勉強もどうかなと思ってるんだけど」
「もちろん大丈夫だよ。私も海斗のこと誘ってみようかと思ってたところなんだ。よかった」
勉強に誘う事にも成功したが、春香の笑みが輝いて見える。こんな笑顔を見せられたら、勉強に集中できそうにないな。
「私はいつでもいいよ。いつがいいかな」
「俺も今週ならいつでもいいんだけど、カフェなら今日はどうかな」
「うん、じゃあ今日の放課後に行こう。後勉強はどうしようか?」
「一日だけじゃ、あんまり進まない気もするから、よかったら二〜三日連続とかどう?」
「うん、私はもちろん大丈夫だよ。それじゃあ明日から三日間一緒に勉強する?」
「是非!」
「それじゃあ、勉強はどこがいいかな。また私のお家に来る?」
春香の家か……
別に嫌ではない。嫌では無いが、たぶん春香の両親がいるよな。
前回伺った時に妙にプレッシャーを感じて落ち着かなかったんだよな。
俺の家も母親がいるから落ち着かないのは一緒だけどまだマシだと思う。
「よかったら俺の家で勉強しない?」
「うん、もちろんいいけど、三日あるから一日は私の家にも来て欲しいな」
春香から、こんなふうに誘われて断れるはずもない。
「当然だよ! じゃあ二日目は春香の家で勉強しよう」
「うん、それじゃあママにも、海斗のご飯お願いしとくね」
「あ……うん、ありがとう」
もしかして、またあの家族団欒の場にお邪魔する事になるのか。
いや、今度は二回目だ。一回目に上手くいかなかった部分を省みて、今度こそ上手くやってみせる。
それから放課後まではしっかりと授業に集中して、春香と一緒に下校する。
「海斗と一緒に帰るのも久しぶりな気がするなぁ〜」
「そうかもしれない。最近ダンジョンで新しい階層に臨んでたりして、全然時間を取れてなかったから」
「あんまり、無理しちゃダメだよ。海斗はよく怪我とかしてるんだから」
「無理してるわけじゃないんだけど、ちょっと頑張らないとなかなか進まないから」
「そうなんだね。それじゃあ今日はゆっくりしてリラックスできるお店がいいよね。昔からあるお店なんだけど、カフェっていうよりも純喫茶なんだけど、海斗は大丈夫かな」
「もちろん大丈夫だよ。むしろそっちの方が安心感があるかも」
「よかった。じゃあ今日は純喫茶ジュピターにするね」
春香は、カフェだけじゃなく純喫茶にも行きつけがあるらしい。
俺の場合、カフェは春香と行くまで行った事がなかったが、純喫茶なら両親と一緒に行った事がある。
カフェはいまだに緊張する時もあるけど、純喫茶なら大丈夫だ。