A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (745)
第737話 志望理由
昨日は久しぶりに放課後に春香と喫茶店に行けて楽しかった。
「隼人、今度の公開模試って受けるのか?」
「ああ、もちろん受ける。最初受けるつもりなかったんだけど、真司が前澤さんと一緒に受けることになったから俺もついでに受けることにしたんだ」
「隼人は受ける大学決めたのか?」
「あ〜まだだけど、王華も含めていくつか受けると思う」
「え? 隼人も王華受けるのか?」
「いや〜オープンキャンパスで見た学園の施設も良かったし、来てた子たちもかわいい子多かったからいいかな〜と思って。女の子の比率も高かっただろ。それに海斗も受けるし」
俺が受けるのは一番最後の理由づけか。
「かわいい子が多かったって、そんなのよく見てたな。だけど来てた子たちが一緒に通うとは限らないんだぞ?」
「そんなことわかってるって。だけどお嬢様たちってかわいい子が多いイメージあるだろ? せっかくならお嬢様とお付き合いとかしてみたいだろ〜」
隼人は完全にお嬢様狙いか。あれ? そういえば花園さんってどうなったんだ? ちょっと前まで、不毛なやり取りしてたはずだけど。
「隼人、花園さんとはどうなったんだ?」
俺が質問をすると隼人の顔が、今までの軽い感じの表情から急にシリアスな顔へと変わった。
「あぁ……連絡してもなんの返信もなくなった」
「……そうか」
やってしまった。これは聞いちゃダメなやつだった。
「だから俺は夢のキャンパスライフに全てを賭ける! そのためなら受験勉強だって頑張れる! 今俺は燃えてるんだ!」
「そうだな。がんばろう」
「それにしてもなにが悪かったんだろう。女の子受けしそうな話題をネットで調べ尽くしたのに」
隼人、たぶんそれがいけなかったんじゃないか? ネットの情報を鵜呑みにするのは危険じゃないか?
「ダンジョンはどうするんだ? 受験勉強に専念するのか?」
「ダンジョンはもちろん潜る。勉強ばっかりじゃ倒れそうだから、ダンジョンに潜りながら受験にも勝つ!」
「俺と一緒だな。俺は今日から三日は春香と勉強会だけど」
「どこが一緒なんだ。全く同じ要素を見出せない!」
「あ〜それより、あの話どうなったんだ?」
「海斗、あからさまに話題を変えてきたな。あの話ってどの話?」
「ダンジョンで行方不明とか、壊滅したパーティがいるって話」
「それが、探索者も注意する様になったからか前よりは、聞く頻度が減ったけど、やっぱり今もあるみたいだ」
「そうなのか。隼人たちも気をつけろよ」
やっぱりシルの言っていた変な気配の仕業なのかな。
「俺たちは大丈夫だって。調子もいいし無理せずやってるから」
「それならいいけど」
ダンジョンのことも気になるけど今は勉強のことに集中だ。
公開模試は二年生の時にも受けたことがあるけど、今よりも成績が悪かったし志望校も適当に書いていたので参考にならない。それに王華を志望して受けるのは初めてだ。
まさかとは思うけど隼人よりも下の成績だときついな。
どうせならみんな一緒に受かるのが一番いいけど、お嬢様狙いだけで志望している隼人に負けるのはさすがにきつい。