A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (754)
第746話 対策
「シルは無理だけど、ルシェとティターニアはカードに戻るか?」
シルがいなくなるとモンスターの出現が読めなくなるので、四階層とはいえ外せないが、ルシェとティターニアはこの階層ならいなくても大丈夫だ。
むしろ、いない方が進度は早くなるのは間違いない。
「ちょっとまて。なんでシルは無理でわたしはいいんだよ。なっとくいかないぞ」
「いやだって、ルシェは探知できないだろ。それならこの階層で無理しない方がいいんじゃないか?」
「ふざけるな! シルが残るならわたしも残るに決まってるだろ。もちろん残る!」
変なところでルシェの競争心というか自尊心をくすぐってしまったようなので、これ以上は言って無駄だろう。
「私は……戻りたいです。虫は……無理です」
「そうか。わかった」
ティターニアは、よほど先ほどのGちゃんが怖かったのか、普段よりも更に小さな声で申し出てきた。
サーバントが戦いを放棄したいというこの状況は普段であれば、絶対に避けたいところだが、今回ばかりは歓迎したい。
俺はティターニアをカードへと送還して先を急ぐことにする。
「あぁ……ティターニアちゃんが」
「隼人、さっさと行くぞ」
隼人はお気に入りだったティターニアがいなくなって明らかにテンションが下がって見えるが、そんなことを気にしている暇はないので放っておく。
「ベルリア、隼人、この階層ではシルとルシェのサポートはないものと思ってくれ。むしろ騒いで邪魔になるかもしれないから相手にしないで戦闘に集中してくれ」
進んで行くとすぐにシルがモンスターの出現を知らせてきた。
「ご主人様お願いします。私たちはこちらで控えています。この先なので終わり次第お知らせください」
サーバントとしては完全に失格だが、今回はそれもありがたい。
「よし、隼人、ベルリアいくぞ」
「マイロードおまかせください」
「わかった」
三人でシルの指示のあった場所へと向かう。
今度はセミ型にカマキリ型とムカデ型。バラエティに富んだ組み合わせだ。
「海斗、俺はセミ型をもらうぞ」
「わかった。じゃあ俺はムカデ型をやるからベルリアはカマキリ型な」
「おまかせください」
俺の相手は巨大なムカデ型のモンスターだ。
以前であれば、その変則的な動きと強靭な外殻に苦戦したが、レベルの上がった今なら完全に動きは見切ることができ、その外殻もバルザードで問題なく断ち切れる。
ムカデ型モンスターの胴体をほぼ真ん中から切断するが、切断した胴体の上下はまだうねうねと動いている。
昆虫タイプのモンスターの生命力は尋常ではない。
とどめをさすためにムカデ型の頭部へとバルザードを突き刺そうとしたその時、後方から悲鳴が聞こえてきた。
「きゃ〜ダメ。きちゃった。ルシェ!」
「うぁああ〜。くるな〜。なんで後ろから」
「ルシェ、獄炎です! 獄炎で焼き払って。虫には火です」
「無理無理。無理に決まってるだろ! 海斗! 海斗〜!」