A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (774)
第766話 ヘビヘビヘビ
俺が蛇の首を刎ねると同時に複数の蛇が一斉に襲いかかってきた。
俺の装備から、まず大丈夫なのは理解できたが心はやはり反応してしまう。
必死にその場から後方へと飛び退く。
数匹の蛇が今いた場所へと跳んだのが見えたが、その直後右足に拘束されるような感覚を覚える。
まさか……
咄嗟に足を動かそうとするが、完全にロックされて動かない。
足下には種類はハッキリとはわからないが、大蛇といって差し支えないサイズの蛇が巻きついていた。
そして巻きつきながら、上へと登ってこようとしているのが見える。
前方では動きの止まった俺に、先ほど跳んできた蛇がロックオンしてこちらに鎌首をもたげているのがわかった。
「クソッ!『ウォーターボール』」
魔氷剣を発動して氷の刃で足下に巻き付いている大蛇の胴体を切断するが、間に合わない。
前方から蛇が跳んできたのが見えた。
このタイミングでは足を抜くのはもう無理だ。
跳んできた蛇を斬るべく魔氷剣を跳ね上げるが、外れてしまった。
必死に上半身を回転させてマントで防御する。
広がったマントに向かって蛇が噛み付いてきたので、マントに阻まれた蛇に向かって氷刃を振るい叩き落とす。
「あら、結構そっちの子はやるのね。でもまだまだこれからよ〜」
ラミアの声が前方から聴こえてくるが、それに呼応するように周囲から蛇がこちらに向けて集まってきているのを感じる。
足に巻きついた大蛇を振り払い、周囲に向けて殺虫剤でファイアブレスを放つ。炎で周囲が照らされるが、相当数の蛇が近づいてきているのが見える。
ファイアブレスにより、俺のすぐ近くの蛇は焼くことができたが、残念ながらそこまで射程が長くはないので、これ以上は無理だ。
モンスターではないが、毒を持ってそうな奴もいるので無視するわけにはいかないが、これではキリがない。
「海斗! 俺にまかせろ!」
「隼人!」
後方から隼人がファイアブレスを俺の周囲に向けて放つ。
どうやらティターニアの『キュアリアル』が効果を発揮して、精神汚染から立ち直ったらしい。
隼人のおかげで俺が動くことができる状況がつくれた。
敵は蛇ではなくラミアだ。
俺は前方へと向けて一気に加速する。
前方のラミアとの距離が縮まり、魔氷剣を突き立てようと振りかぶるが、その瞬間俺の脇腹に右側から強烈な衝撃があり左へと跳ね飛ばされてしまった。
「ガハッ」
肋骨が何本か折れた。
「グッ」
吐き出された空気を取り戻そうと、必死に肺を広げるが息がうまく吸えない。
苦しい。
「マスター! 今助けます。『キュアリアル』」
ティターニアが俺に回復をかけてくれる。
僅かだが呼吸が楽になってきたのを感じるが、すぐには回復しない。
痛みを堪えて、なんとか立ち上がり、ラミアに向け魔氷剣を構える。
暗くてよく見えなかったがさっきの攻撃はラミアの尻尾か?
俺が斬ろうと踏み込んだところをカウンターで弾かれた。
「怖いわね〜いきなり斬りかかってくるなんて野蛮じゃない」