A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (777)
第769話 水蛇
「このクソガキ! 痛いわね!」
俺の魔氷剣は間違いなく、ラミアを斬ったが、斬れたのは鱗一枚分の厚みだけ。
剣の走った後がはっきりとラミアの胴体に残ってはいるが、微かに血と思しきものが滲んでいるだけだ。
そしてティターニアと俺の攻撃にラミアがキレた。
全身をぶるっと振るわせると、その巨体に似合わない速度で猛攻を仕掛けてきた。
尻尾と両腕、そして口を使い左右、上下から俺に連撃を加えてくる。
どうにかアサシンのスキルの効果で避けることはできているが、身体が軋む。
全身の筋肉と関節が悲鳴を上げている。
完全にアサシンの効果を使いすぎているが、その効果なしでは一撃たりとも避けられる気がしない。
「マスターに手を出さないで。倒れて!」
ティターニアが再びドラグナーを放ち、ラミアにダメージを与えるが止まらない。
「またお前か! お前を先にぃぃ!」
ラミアの振るった腕が伸び後方のティターニアを襲う。
「一応、俺もいるんでお忘れなく。いや、嘘です。やっぱり忘れてください。マジでバケモノこえ〜」
「誰がバケモノだ! このゴミクズが!」
隼人がティターニアへの攻撃を防ごうと槍を振るうが、すぐに弾き飛ばされる。
「隼人!」
「くそ〜『必中投撃』 大丈夫だ! 品切れになるまで投げ尽くしてやる!」
隼人はすぐに起き上がり、距離を保ちながら釘やナイフを投擲している。
「マスター! こちらは大丈夫です。敵を!」
ティターニアの声に押されるように再び集中する。
注意のそれたラミアの胴体に向けて再び魔氷剣を振るい、鱗を斬る。そのまま制限回数いっぱいまで剣を振るい一旦その場から離脱を試みるが、攻撃を耐えたラミアが俺の離脱を許すはずもなく追ってきた。
「逃がすか! 小僧〜!」
瞬間的なスピードはこちらが上だが移動スピードはラミアの方が速く、徐々に距離を詰められてしまう。
「やらせません」
ティターニアが後方からドラグナーを放つが、ラミアはそれを避けた。
「そう何度も同じ手が通じるはずないだろうが! 小娘〜!」
ラミアの振るった三叉槍から放たれた水蛇がティターニアを襲う。
「きゃあっ」
完全に撃ち終わりを狙われ、無防備となったティターニアは水蛇に襲われて避けることができなかった。
「ティターニア!!」
「くっそ〜! よくもティターニアちゃんを! 絶対許さない。服ぐらい着ろよ、このバケモノ野郎!」
ティターニアが後方へと飛ばされてしまった。
咄嗟に腕で防御するのが見えたので致命傷ではないと思うが、すぐに起き上がってくる様子はない。
「このゴミクズが! お前も小娘の後を追え!」
「ティターニアちゃんは死んでない! 後なんか追えるわけないだろ。おおおおおおおぉぉ! 『必中投撃乱舞』」
隼人が気合の雄叫びと共に、ラミアに向け両手からニードルのようなものを一斉に放った。