A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (787)
第778話 胸には夢が詰まってる
「海斗聞いてくれよ」
「おお、どうした?」
「実は早速昨日、連絡先聞いた茜ちゃんと恵ちゃんにメールしたんだ。そしたらどうなったと思う?」
「どうなったんだ?」
「それが、すぐに返事が返ってきたんだ。それも見てくれよ。お礼もあわせてこんな長文で! しかも二人共! 俺こんな長文で女の子から返信もらったの初めてだ」
「そうか……」
昨日連絡を入れれば普通の人なら、お礼の返信をするくらいは普通な気もするけど、ずっと花園さんのメールは本当にひと言メールだったからな。
隼人の気持ちもわからなくはない。
「しかも、そのあとも何度かやり取りしたんだけど、ちゃんと返ってきたんだ。すごくないか?」
「ああ、そうだな」
「隼人も海斗も昨日は大変だったみたいだな。俺もいければよかったんだけどすまんな。悠美がどうしても行きたいところがあるって言うから」
「真司、前澤さんとどこに行ったんだ?」
「最近できた雑貨屋に行ってきたんだ。悠美結構可愛いのが好きだからな」
「デートか〜。いいな〜。俺も今度誘ってみようかな。そうしようかな」
「隼人、誘ってみるのはいいけどどっちを誘うんだ?」
「それは、もちろん……二人共はまずいか?」
まさかの二人共誘う気だったのか。隼人いくらなんでもそれは節操がなさすぎる。
「それは良くないだろ」
「それじゃあ、順番に……」
「二人同じパーティだぞ。絶対話が回るぞ」
「そ、そうか。う〜ん、どうしたらいい。どうしたらいいと思う?」
「隼人、もう少しやり取りして気があった子を誘ったらどうだ。その場合はもう一人の子は諦めろよ」
「真司〜。そんな簡単に言うなよ。これは俺にとって初めての春なんだ。真司や海斗にはわからないだろうな。苦節十七年俺の人生がようやく報われようとしてるんだ。そう簡単に決めれるわけないだろ。ほら見ろよ二人共こんな長文で! どっちもいい子なんだよ〜」
隼人の気持ちはよくわかる。世間一般では良くない考えなのもわかるが、今まで女の子に相手にしてもらえなかった隼人の気持ちは痛いほどわかる。
吊り橋効果のブーストがある今こそ動く時なのも理解できる。メールの長文だけでこれほどまでに喜んでいる隼人には上手くいってほしい。
隼人は見た目は悪くないと思う。茶髪だし、口も回るしどちらかというと陽キャ寄りだ。変な話俺たち三人の中では一番女の子受けしそうな気もするが実際には一番女の子と縁がない。先に同じパーティの真司に彼女が出来たのも、思うところはあっただろう。しかも真司は結構惚気るしな……
「隼人、先輩としてアドバイスだ。彼女がいるとな毎日が楽しい。こんなに人生って明るいものだったんだって充実してくるんだ。たあいもない会話が高校生活を彩ってくれる。だからこそ本命はひとりに絞れ。隼人が二人同時に上手くやれるイメージが全く湧かない」
「真司、さすがに彼女のいるやつの言うことは重みがあるな。く〜っ、わかった。ひとりに絞る。茜ちゃんにする」
「隼人、どうして茜ちゃんなんだ?」
「それはもちろん胸だ」
「胸?」
「そう。胸。俺は人間の胸がいいんだ。ラミアの胸はもう十分に見たから今度こそ人間の胸だ。茜ちゃんは胸が大きいんだ。昨日のメンバーの中でもダントツだった」
「そうなんだ……」
まあ、胸も選ぶ要因のひとつかもしれないが、隼人らしいといえば隼人らしい。ラミアに精神攻撃くらって胸に異常な反応を見せてたしな。
まあ頑張れ隼人。なにもできないけど陰から応援はしてるから。