A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (789)
第780話 K-12のメンバーはすごい
「グェッ」
鉄球が空中でなにかを捉え、バンシーらしき声が聞こえてくる。
「しとめきれなかったか。私もまだまだだな」
「あいりさん、なんでわかったんですか?」
「この前一度見たし、だいたいの気配はつかめたんだ」
「気配ですか」
俺には全くわからなかった。
サーバントたちならまだ理解できるが、普通の人が気配を察知するって、昔の武芸者みたいだ。
あいりさんが普通じゃないのか。
「キョキョキィキョイ〜」
この声は……
奇妙な声と共に大鎌を持ったスケルトンが二体現れた。
「あいりさん!」
あの大鎌は魔鎌のはず。まともにくらったらただでは済まない。
「マスター、援護します。『ウィンガル』」
ティターニアがスキルを付与してくれたおかげで、身体が少し軽くなる。
「ヒカリン、『アースウェイブ』を頼む」
「わかったのです。その場から動かないでください。『アースウェイブ』」
ヒカリンの放った『アースウェイブ』がスケルトンの足を止める。
「効いてる!」
「はい。もう一体もいくのです。『アースウェイブ』」
二発目の『アースウェイブ』が発動し、もう一体のスケルトンの足も止める。
「あいりさん、バンシーにとどめを頼みます」
「わかった。まかせてくれ」
「ベルリアいくぞ!」
「マイロード、ラミアなど私の敵ではありません。お役に立てることをここで証明させていただきます」
ベルリアがいつも以上に気合いが入っているのか、あっさりと俺を追い越しスケルトンへと迫っていく。
俺はバルザードの斬撃を飛ばし先制するが、大鎌を振われ、威力を相殺されてしまった。
「マスター、右へ避けてください」
ティターニアの声に反応して右に避けると同時にドラグナーの弾丸がスケルトンに襲いかかる。
再び大鎌を振るい弾丸を撃ち落とそうとするが、弾丸の威力に大鎌を持つ手が大きく弾かれた。
態勢を崩し正面がガラ空きとなったスケルトンに向かいバルザードの斬撃を飛ばし、ダメージを与える。
「私だって。『ライトニングスピア』」
ミクがスキルを発動し、雷の槍をスケルトンの頭部へと突き立てる。
あいりさんは俺たちがスケルトンを相手にしている間に一直線に駆けて行き薙刀を虚空に向けて一閃した。
『斬鉄撃』
あいりさんはそのまま残心の姿勢を続けるが、二撃目を放つことはなかった。
「手応えがあった。見えずとも心の目で捉えれば私に斬れぬものは無い」
俺の耳には微かにあいりさんの呟いたセリフが聞こえてきた。
あいりさんカッコいい。
完全に達人のセリフだ。
俺も一度言ってみたい。「斬れぬものは無い」
先日隼人と組んでいたので落差が激しい。
最近あいりさんもおかしな言動が見られていたが、本来のあいりさんはジャパニーズクールビューティ。
久しぶりにカッコいいあいりさんを見ることができて安心した。
ミクの攻撃を頭部に受けたスケルトンもそのまま消滅した。
残る一体はベルリアが交戦しているが、足止めされた状態の大鎌ではベルリアの二刀のスピードにはついていくことはできず、一方的にベルリアの攻撃が入りダメージを積み上げていく。
「これで終わりです。『アクセルブースト』」
ベルリアがジャンプし、炎の魔刀を上段から振り下ろしスケルトンの頭蓋を割り倒すことに成功した。
「マイロード、私の活躍を見ていただけましたか? 魔鎌などマイロードから拝領したこの魔刀の敵ではありません」
ベルリア、前回戦った時にその魔鎌も欲しいって言ってなかったか?