A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (80)
第80話 8階層
俺は今学校の教室にいる。
「そういえば隼人と真司は、最近ダンジョンに潜ってるのか?」
「おお、2人で結構潜ってるぞ。この前レベル5になったから、時々3階層にも潜ってるよ。」
「2人だとそれなりにやれてるから面白くなってきたところだ。」
「無理すんなよ。この前みたいになっても誰も助けてくれないからな。」
「それなんだけどな、この前潜った時に女の子2人のパーティと知り合って、今度一緒に潜る話になってるんだ。ソロの海斗には縁の無い話で申し訳ないんだけど。」
「そうそう、いきなり声かけられてびっくりしたけど、こんなことあるんだな。これも海斗が鍛えてくれたおかげだよ。海斗様様だな。」
「いや、俺も週末はパーティ組んでるぞ。」
「え?パーティ組んでるのか?いったい誰と組んでるんだよ。俺たちの知ってる奴か?」
「まさか葛城さんか?」
「そんなわけ無いだろ。この前ギルドのイベントがあって、その時一緒に潜ったメンバーから誘ってもらってこの前からパーティ登録したんだ。」
「何人パーティ?もちろん男と組んでるんだよな。」
「聞くまでもないよな。男4人だよな。」
「4人パーティで俺以外は女の子だけど。」
「は?何か幻聴が聞こえた。もう一度聞くぞ、パーティメンバーは全員男だな。」
「俺も幻聴が聞こえた。ちょっとダンジョンで頑張りすぎたかな。」
「いやだから俺以外は女の子だって。」
「まじで?それってハーレムパーティじゃないか。いや待て。全員おばさんか、誰にも相手にされてない様な子なんだろ」
「失礼な奴だな。ハーレムパーティじゃねーよ。全員同世代だけど、一般的にみんな結構可愛い方だと思うぞ。」
「なんだ!?何が起こってるんだ。これは夢か、天変地異か。海斗なのに一体・・・それはそうとお前それって、葛城さんは大丈夫なのか?」
「いや絶対やばいな。海斗やばいぞそれ」
「なんでそこで葛城さんが出てくるんだよ。彼女は探索者じゃないんだからパーティと関係ないだろ。」
「は〜、やっぱり海斗クオリティは変わらないな。葛城さんにはこの事は内緒にしといたほうがいいと思うぞ。」
「葛城さんとパーティメンバーの話をすること自体が無いけど、何を言いたいのか意味がわからん。」
「まあ上手くやれよ。」
「グッドラック」
相変わらずこの2人の葛城さんに関する話はよくわからない事が多い。
放課後ついに8階層に向かった。
カーボンナノチューブのスーツにライフジャケット着用で準備万端だ。
向かう途中に出会った冒険者達が、一様にこちらを見て、コソコソ何か話しているのでちょっと失礼じゃないかと思う。
それにしても、ほかの探索者を見るとライフジャケットを着用している人がいないようだ。おそらくみんな泳ぎが達者なのだとは思うが、ここはダンジョン。何があるかわからないので、万全の体制で臨むべきだと思う。ひょっとすると、みんなちょっと気が緩んで抜けているのかもしれない。水場にライフジャケットは必須だ。
8階層に到着すると、他の階層と違って、水場が多く点在しているせいか、湿度が高く、水辺独特の匂いがする。未知の階層に踏み入れる度に感じるが、なんか見知らぬ外国に来たみたいな感覚になるので、毎回ワクワク感でテンションが上がってくる。もちろん、俺は外国には、行ったことがない。外国どころか国内旅行も殆ど連れて行ってもらった記憶がない。できることなら一度でいいからハワイに行ってみたい。
今俺はダンジョントラベラーとなっている。ただし死出の旅にだけは出ないように細心の注意を払わなければならない。
「シル、ルシェ、初めての8階層だから慎重に行くぞ。」
「かしこまりました。」 「わかったよ」