A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (810)
第801話 骨の使い道
そしてもうひとつの鑑定結果をみてみる。
ジャグルの骨 …… デュラハンロードの脛骨。非常に硬い。
うん、これは鑑定結果に誤りはない。ただこんな事はわかりきっている。
正直これなら鑑定料の三万円を 返してもらいたいぐらいだ。
「高木様、これは倒した階層主の骨なのですよね」
「はい、そうです。一応ネームドモンスターでした」
「確認ですが、ラーメンを作ったりはしないですよね」
「はい、しないですね」
「余計なアドバイスかもしれませんが、ドロップしたモンスターの部位によっては加工して武器や防具になる場合があります。もしかしたらこの骨も可能性があるのではないでしょうか」
「武器か防具ですか。まあなんとなく棒としては使えそうな気もしますけど」
「一度ダンジョンマーケットの武器屋の店主に相談してみてはいかがでしょうか。あの方はあれでもその道では知られた方なので」
「武器屋の店主って、まさかあのおっさ……」
「はい、その方です」
あのおっさんがその道で知られた方? 嘘だろ。ただのぼったくり親父じゃなかったのか。
ただ、俺たちにはこのジャグルの脛骨を活かす術がないのも事実。
微妙な気持ちは押し殺し日番谷さんのアドバイスに従うことにする。
「あっ! その前にする事があったんだ」
「どうしたんだ?」
「いや、実はジャグルとの戦いでBPが100に到達したんです」
「なっ……もしかしてそれはシルバーランカーになったということか?」
「まあ、手続きがまだですけどそうなります」
「海斗がシルバー。私はようやくブロンズに……」
「ランクアップの手続きをしていきたいんだけど、あいりさんもいいですか?」
「シルバーランク。よかったら識別票を交換……」
「あいりさん、できるわけないでしょ。性別からして違いますからね」
「あ、ああ。もちろん冗談だ」
俺達はおっさんのところへ行く前にギルドでランクアップの手続きを済ませることにした。
「皆様ランクアップおめでとうございます。こちらが新しい識別票になります」
「ありがとうございます」
ミクとヒカリンも一緒にブロンズランクへのランクアップを果たしたので、今回は識別票が三枚渡されることとなった。
俺が受け取った。新しい識別票はアイアンランクの時の識別票に似た色合いだが、手に触れた質感が少し違い、金属の光沢も少し高級感がある気がする。
ついに俺もシルバーランクまでたどり着いた。
実際に識別票を手に取ると途端に実感が湧いてきた。
やった! ついにやった。探索者のほとんどはこの位置までたどり着くことができないまま引退していく。
俺は本当に運がいい。
スライムに特効のある殺虫剤を発見し、とびきりのサーバントを四人も手にし、しかも最高の仲間とパーティを組んで探索を行う事ができている。
ここまでこれたのは間違いなく俺の力だけじゃない。
みんなのおかげでここまでこれた。
ただ、まだ先がある。探索者としてもまだまだこれからだ。
まだ見ぬダンジョンをしっかりと進んでいきたい。