A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (811)
第802話 おっさんはマエストロ?
「これがブロンズランクの識別票ね」
「感慨深いのです。まさか自分がこれを手にできるとは考えてもいなかったのです」
「これで私たち3人は揃ってブロンズランクだが、海斗は既にシルバーだからな。負けてられないぞ」
「そうですね」
「頑張るのです」
確実にチームとしてもレベルアップしているが、次は十九階層だ。
少しでも戦力の底上げはしておきたい。
「あの〜ちょっといいですか?」
「おう、坊主。今日は美人さんを三人も連れてなんのようだ? なんか買ってくれんのか?」
「はい、ギルドで紹介されてきたんです。これなんですけど」
俺はジャグルの骨を取り出しておっさんに見せる。
「おう、なんだこの馬鹿でかい骨は?」
「それが、十八階層主との戦いでドロップした階層主の骨です」
「この骨は……豚骨か!?」
「いや、一応豚骨じゃなくてデュラハンロードの骨です。鑑定ではジャグルの骨だそうです」
「ネームドのデュラハンロードの骨か」
「はい。この骨異常に硬くて、使っていた魔刀が三本ダメになっちゃいました」
「やっぱりか。坊主この前の魔剣だけじゃなくて魔刀なんか持ってやがったのか。どうりでうちで魔剣を買っていかないわけだな。よかったら売れ残ってる魔剣があるぞ? まとめて三本なら安くしとくぞ?」
「いやいや、魔剣三本って無理ですよ。今日はそうじゃなくてこの骨を武器にできたりしないかと思ってきたんですよ」
「あ〜この骨を武器に!? このまま振り回せばいいんじゃね〜のか」
「次は十九階層ですよ? 骨でいけると思いますか?」
「バカやろ〜! 骨だろうがなんだろうが筋肉に力込めて思いっきりぶっ叩けばモンスターなんぞ、どうにでもなるんだよ。最近の若い奴らは鍛え方が足んねえんだ!」
おっさん無茶苦茶だ。全てを筋肉で片付けようとする暴論。その理屈でいくならこの骨である必要もない。
「残念ながらモンスター相手に力押しできるほど筋肉ないです。普通に武器がいいんですけど無理ですか?」
「あ!? 無理? 無理なわけね〜だろ。いけるに決まってんだろうが。ちょっと見せてみろ」
「はい」
俺がジャグルの骨を手渡すと、おっさんが無言で真剣にジャグルの骨を観察し始めた。
「おい、坊主。この骨なんだ?」
「いや、だからジャグルって名前のデュラハンロードの骨ですよ」
「そんな事はわかってんだよ! なんでこんな高密度で固いんだ。下手な武器より全然かて〜じゃね〜か。こんな骨見たことね〜な」
「やっぱり無理ですか?」
「無理じゃね〜よ。いけるって言ってんだろ。このまま棒でもいけるが、坊主が使うなら剣か。正直骨を使った剣は珍しいが、ドラゴンの牙を使った剣もあることだし無くはね〜な」
「その骨で剣ができるんですか?」
「ああ、できる。できるが金はかかるぞ。なにしろ骨から剣だぞ!? わかってんのか? 骨から剣を作るんだからそれ相応の金がいるぞ? まあ坊主十八階層をクリアしたぐらいだ、金がないはずはないよな」
ジャグルの骨から剣か。だけど金か。この守銭奴のようなおっさんが金がかかるっていうぐらいだからとんでもない金額なのか?
俺は恐る恐るおっさんに聞いてみる。
「あの〜ちなみに金額はいくらぐらいになりそうですか?」
「あ〜そうだな。素材は持ち込みだからな、さすがにそこまでは取れね〜から、まあ四百万円ぐらいあれば足りるんじゃねえか」