A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (812)
第803話 できるおっさん?
四百万円か。
間違いなく大金だけど、今の俺に払えない額ではない。
魔剣が一本一千万円以上することを考えると、高くはないのか?
素材持ち込みなので、完全に技術料と考えるとやっぱり高いのか?
おっさんの口から出る金額に正直どうなのか確信が持てない。
「ちょ、ちょっと待ってください。みんなちょっと」
自分では判断がつかないのでパーティメンバーに頼ることにする。
おっさんに聞こえないように小声でみんなに聞いてみる。
「ジャグルの骨から武器を作るの四百万って言ってるけど、みんなはどう思う?」
「どう思うって値段がどうかっていう意味?」
「うん、そう」
「海斗、私は四百万ならありだと思うぞ。恐らくジャグルの骨から作られる武器なら魔力を帯びた武器になる可能性が高い。魔武器が四百万円で手に入ると考えればいいんじゃないか?」
「そうね、私も値段的にはありだと思うわ」
「問題は、本当に魔力を帯びた武器になるかということなのです。もし出来上がった武器が魔力を帯びていなければ、ただの硬い骨なのです」
「まあ、それに関しては完全には否定できない」
「……そうですよね」
やはり、おっさんの口から出た値段とはいえ、魔武器の製作料としては高くない気がする。ただそれはあくまでも魔武器の製作料としてはだ。
ヒカリンの言う通り、硬い骨を使った武器としては微妙だ。
いやむしろ高い。
硬い骨としてなら今のままでもあまり変わらない気がする。
「おい、どうすんだ? 正直武器を加工すんのは手間がかかるからな。なんなら、在庫の魔剣を買ってもらった方が俺はありがたいんだがな」
「これ、ちゃんとした武器になりそうですか?」
「そりゃ、ネームドの骨だからな。普通ならそれなりのもんになるんじゃね〜か。まあ硬度も十分だから、幅の細い剣ぐらいはいけんだろ」
「なんでネームドの骨って……」
「そんぐらいわからなくて、こんな店やってられるかよ!」
おっさんには何度か騙されているが、その人柄とは関係なくどうやら希少な鑑定スキルを持っているっぽいな。
たしかに鑑定スキルでもないと、探索者の武器なんか扱えない気もするので妙に納得してしまうところはある。
人柄はあれだけど。
「う〜ん……」
「人が打ってやるって言ってんだからウダウダ言ってないで、男ならさっさと決めろ! 女の子たちの前で恥ずかしくね〜のか!」
「は、はい」
たしかに俺の魔刀は一本なくなってしまったし、選択肢は少ない。それにさっきおっさんが気になる事を口にした。
「もしかして店長が作ってくれるんですか?」
「あ〜? そんなこと当たり前だろ〜が! 俺以外にこんなもん誰が打つんだよ」
やっぱりおっさんが作るのか。鑑定スキルに鍛治スキル? やっぱりおっさん何気に優秀なんじゃないか?
人柄はあれだけど。
「わかりました。お願いします」
「おお、まかせとけ。ちなみにこれをメインで使うつもりか? この前研いだ魔剣が折れたんだろ」
「いえ、折れたのはもう一本の方なんで、この前のと二本使いするつもりです」
「二刀流かよ。厨二か。かぶれてんな〜。まあ探索者なんて、みんなそんなもんだがな」
「はは……」