A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (813)
第804話 十九階層
おっさんに不安がないといえば嘘になるが、他に術もないのでおっさんに依頼することにして前金で半額の二百万円を支払い、いくつか消耗品を補充した。
これで今日の目的は、ほぼ果たすことができたが、新しい剣ができるのは一週間後とのことだった。
「これからどうしましょうか」
この後の予定を何も立てていなかったのでメンバーに確認してみる。
「まだ時間は十分にあるから、軽く十九階層を覗いてみないか?」
「十九階層ですか?」
「ああ、昨日は消耗していたから全く探索していないだろう。本格的に探索するのは来週からだとしても少しは、十九階層の敵を体感しておいた方がよくないか?」
「たしかにそれはありますよね」
「海斗さん武器は大丈夫なのですか?」
「まあ、バルザードがあるし、魔核銃と併用すれば特に問題無いと思うけど」
「それじゃあ決まりね」
メンバーのみんなも俺と一緒でランクアップと新たな階層にモチベーションが上がっているのだろう。結局いつも通りダンジョンに潜ることになってしまったが、初めての十九階層、異存などあるはずもない。
「今日は、あくまでも感触を確かめるだけだから、深追いはしないよ」
「そうだな。そうするとしよう」
早速俺たちはダンジョンへと向かい、ゲートキーパーを使い十九階層へと踏み入れる。
昨日はここまでで、引き返したが、探索を開始する。
ダンジョンを奥へと進むと、十八階層までとは明らかに違うのがわかる。
階段付近は、特に変わったところはなかったが、今歩いている場所は床が石でも砂でもなく、金属で出来ている。
「気をつけないとこの床は滑るな」
「普通に歩くのは大丈夫だけど、戦闘時には注意ね」
足下に注意を払いながら先に進んでいくと、徐々に壁や天井部分も金属質なものへと変化しているのがわかる。
「これ、転んだだけでもダメージ受けそうだな」
「頭から転んだら、流血しそうなのです」
「話には聞いてたけど、本当にダンジョン全体が金属で出来てるのね」
「誤って壁を斬れば刃こぼれはまちがない。それに銃は要注意だろう。下手をすれば跳ね返って自爆するぞ」
たしかにあいりさんの言う通りだ。これでバルザードまで使えなくなってしまうと取り返しがつかない。
「ティターニア頼んだぞ」
「おまかせください。マスター達に被害が及ぶような真似は決して致しません」
ティターニアと話していると敵を知らせる声がシルから聞こえてきた。
「ご主人様、敵の気配です。この先に二体います」
「わかった」
「いつも通りでいこう。ベルリア、あいりさんと俺が前に。残りのメンバーは各自の判断でフォローを」
そのままダンジョンを進み、俺たちは初めて十九階層のモンスターと相まみえることとなった。