A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (814)
第805話 金属生命体?
「あれか」
「話には聞いてたけど、本当にあんな感じなのね」
「ゴーレムとも違いますよね」
「金属生命体、いやロボット型生物といった方がいいのか」
俺達の先には二体の敵が姿を現したが、モンスターと言っていいのかよくわからない。
外装は完全に金属で出来ている。
そのこと自体は今までのモンスターでも経験済みだが、明らかに機械然としたその姿が明らかに今までのモンスターとは違う。
その形は、おそらく人型の方はリザードマンタイプ、そして四つ脚の方は大きな牛を想起させる。
「マイロード、おまかせください。マイロードより拝したこの牛魔刀の錆としてやります」
「無茶するなよ。刃が欠けても、もう買ってやれないからな」
「私がそのような失態を犯すはずはありません」
「いや、その剣で何本目だよ。それにあれって血を流すのか? その刀の特殊能力発揮できないんじゃないか?」
「問題ありません」
「それじゃあ、ベルリアが牛型、俺とあいりさんで人型をやりましょう」
俺の指示と同時にベルリアが大刀を手に牛型に向けて駆けた。
俺とあいりさんは、初見の相手に慎重に距離を詰めていく。
こちらを認識した牛型のモンスターから金属が擦れるような音が聞こえてきたと同時に牛型のモンスターが突然ベルリアに向けて突進してきた。
「速い!」
表現しずらいが、徐々に加速するのではなく、いきなり全速力で飛び出したような加速でベルリアに突進してくる。
明らかに普通の生物の動きとは異なる動きに目が釘付けになってしまう。
ベルリアが即座に反応して上空へと飛び上がり、ひらりと牛型の突進を交わすが、その場で急停止した牛型が攻撃しようとベルリアの着地を待ち構えている。
「その程度の動きで私を捉えられるなどと思わないでください。『アクセルブースト』」
ベルリアが空中で牛魔刀を振りかぶり落下しながら剣尖を加速させる。
ベルリアの一撃が牛型に当たると周囲に金属音が響きわたり、そのまま敵の首が落ち崩れてそのまま消滅した。
ベルリアが余裕で勝利したように見えるが、明らかに通常のモンスターよりも速い動き、そして外皮だけでなく、内部まで金属で出来ているのが首の断面から見て取れた。
どう考えても通常のモンスターよりも硬い。
というよりも、これをモンスターと呼んでいいのかさえ疑問に思えてしまうが、ダンジョンに出現する敵である以上倒す以外に選択肢はない。
ベルリアの戦闘が終えるのを見届けて俺とあいりさんがリザード型の敵へと駆ける。
二足歩行なので、ベルリアの倒した牛型よりも動きが鈍い事を期待したが、あっさりとその期待は裏切られた。
動き自体は硬い。滑らかとか流麗な動きからは程遠い。
程遠いが、牛型と同様いきなり加速して俺たちに急接近してきた。