A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (815)
第806 未来型ロボット。それは……まさか猫型
「あいりさん!」
敵モンスターが突然加速して距離を詰めてきた。
徐々にではなく、いきなり最大速度になったかのような敵の動きに反応が遅れる。
「くっ、パワーもすごいな」
あいりさんが、メタルリザード型の剣戟を薙刀の柄で受け止める。
メタルリザード型から放たれる一撃は、その身体の動き同様にいきなりトップスピードで放たれ異様に速く感じられる。
すぐさま放たれた二撃目もあいりさんが後方へとシフトしながら柄で受け止める。
さすがはあいりさんだが、完全に距離を潰されてあいりさんの間合いではない。
俺もすぐに側面から斬撃を飛ばすが、メタルリザードの身体に軽く亀裂の筋が入ったのは見えるが、動きを止めるには至らない。
やはりその見た目どおりの硬度を誇っているようだ。
メタルリザードは俺の攻撃を意に介さず三撃目をあいりさんへと放つ。
あいりさんはどうにか三撃目も上手く避けたが、完全に押されている。
最初に出てきたモンスターのくせにコイツかなり強い。
俺は一気に集中力を高めアサシンの能力を解放し、メタルリザードへと迫る。
あいりさんへと攻撃し、無防備となった敵の側面へとバルザードを突き立てようとするが、その瞬間メタルリザードの身体が垂直に飛び上がった。
「なっ!」
アサシンの効果で敵の動きは鈍く感じられるが、メタルリザードの動きは素早く俺の一撃は身体の芯を外しかろうじて右脚を捉えた。
バルザードの刃が触れた瞬間硬質な感触と抵抗が手元に伝わるが、切断のイメージをのせそのまま左脚を切断する。
メタルリザードは空中でバランスを崩して上昇力を失ったが、消滅には至っていない。
普通、上にジャンプするには予備動作が必要なはずだが、そのような動きは一切見られなかった上に、明らかに重そうなその体躯でベルリア並みに飛び上がった。
明らかに通常の生物の動きとは異なる。そして切った脚からは血が流れていない。
「やあああぁっ! 『斬鉄撃』」
あいりさんが薙刀のリーチを活かし空中のメタルリザードの胴体を切断し、消滅へと追いやる事に成功した。
「さすがは十九階層といったところか。かなり手強い。それにあの動き、組みづらいな」
「そうですね」
地面にはモンスターの残した魔核が落ちていたので拾う。
十八階層で手に入れた魔核とそれほど大きな違いは見て取れないので、ドロップについては変わらないようだ。
「あいりさん、今までのモンスターとは違いますよね」
「金属生命体とでも言えばいいのか」
「海斗さん、ロボットじゃないですか? 動きがアニメに出てくるロボットみたいなのです」
「そうだよな。だけど切断面からは回路っぽいのは見て取れなかったしなぁ」
「アニメとかでもっと進んだ世代のロボットは回路とか無くても普通に動いていたのです」
「そうなんだ」
十九階層の敵は未来型ロボットなのか? 未来型ロボットってまさか……あれが出てくるわけはないな。