A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (832)
823話 バランスは大事
ダンジョンを早めに切り上げたので、家に帰ってカレーを食べてから部屋でくつろいでいる。
かなり身体が重いが、今までの感じだと寝ればなんとか回復すると思う。
明日ももちろん19階層を探索するつもりだが、やはり敵の硬さと初速の速さに対応するために今まで以上に消耗している。
そして俺の1番の心配がバルザードの事だ。
意識をのせればどうにか断ち斬れてはいるが、かなり負担がかかっているのは感じる。
このままでは、また刃が欠ける可能性大だ。
だが、おっさんに依頼してある豚骨剣はまだできていない。
しばらくの間はバルザードに頑張ってもらうしか無いので、当面は魔氷剣として使用した方が無難だろう。
バルザード同様にベルリアの牛魔刀も心配ではある。
バルザードよりもかなり大ぶりなので耐久力はあると思うけど、ある意味ベルリアの『アクセルブースト』はスピードとパワーのゴリ押しなので、かなりの負荷がかかっているのは間違いない。
牛魔刀が折れてしまえば、代わりは豚骨剣になってしまうので、俺の武器が一本だけになってしまうのでそれは避けたい。
どうにか武器への負荷を減らして19階層を周りたいと色々考えてみたが結局何も思いつかなかないまま、宿題を済ませてから眠りについてしまった。
翌朝目が覚めると、準備を済ませてからダンジョンへと向かう。
取り敢えずバルザードについては極力魔氷剣を使いながら進む事にする。
「ヒカリンは昨日の夜は何食べたんだ?」
「ママがキッシュを作ってくれたのです」
「キッシュ……うちで出てきたことはないな」
「ママのキッシュは世界一なのです」
「あいりさんは、何を食べました?」
「昨日は家の庭の竹林で筍を取ったから筍尽くしだ。放っておくと大変な事になるから、毎年このシーズンは筍を食べることになってる」
「家の庭で筍が取れるんですか!? 流石はあいりさんですね」
「私がすごいわけじゃないからな。それに毎日のように食べるのは流石にな」
「ああ、そうかもしれませんね」
「私は昨日肉じゃがだったわ」
「え、肉じゃが? ミクって肉じゃが食べるんだ」
「どういう意味よ。食べるに決まってるでしょ」
「いや、いつもキャビアとかフォアグラばっかり食べてるのかと思った」
「流石にキャビアとフォアグラ毎日は厳しいでしょ」
「まあ、確かに」
「やっぱり松坂牛は肉じゃがにすると最高ね」
「松坂牛……」
「冗談よ」
ミクの場合、十分にあり得る話なので冗談が非常にわかりにくい。
「海斗さんは何を食べたのですか?」
「俺はカレーだよ」
「海斗さん、カレーの回数が多くないですか? なんとなく2日に1回くらいはカレーを食べてるイメージがあるのです」
「まあ土日に限ればそのくらい食べてるかもしれない」
「カレーもいいとは思うのですけど、栄養バランスも考えて色々なものを食べた方がいいと思うのです」
「そうは言ってもなぁ。家に帰るとカレーがあるんだよな」
「そうなのですね」
「海斗、旬のものも大事だぞ。よかったら筍を分けようか?」
「いや〜筍をもらっても多分、料理できないんじゃないかなぁ」
俺はカレーが大好物だ。だけどヒカリンの言うことは随分前から感じてはいた。
だけど今更、母親がバランスを考えて土日の食事を作ってくれるイメージが全く湧かない。