A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (842)
833話 右手に白麗剣左手にバルザード
「それが海斗の新しい剣か。とてもあの豚骨から削り出されたとは思えない出来だな。かなりの名工の手によるものだろう」
「あいりさん、そう見えますか?」
「ああ、間違いないな。それほどの技、今の時代なかなか見られないものだ」
「これ、武器屋のおっさんが自分で打ったんですよ」
「ほう、あの店主が。人は見かけによらないものだな」
「はい、お金と筋肉だけの人じゃなかったのかもしれないです」
武器を見慣れているであろうあいりさんが言うのだから、おっさんが打ったこの白麗剣、所謂業物なのだろう。あのおっさん、ぼったくられかけたが、仕事はキッチリやってくれるタイプなのかもしれない。
「ご主人様、モンスターがきます。数は四体です」
「わかった。みんないつも通りにいこう」
その場で隊列整え、敵モンスターが現れるのを待っているとすぐにメタリックカラーなモンスター達が眼前へと出現した。
俺はナイトブリンガーとアサシンの能力を発動し、モンスターへと駆ける。
俺の相手はメタルリザードマン。
両手に持つ剣をしっかりと握りしめ距離を詰める。
こちらの動きに合わせてメタルリザードマンも武器を構える。
この階層の敵を相手にして完全に気配を消す事ができないのは織り込み済みだ。
それでも、相手の動きが鈍ればいい。
正面からズレ、間合いに入った瞬間右手に持つ白麗剣をメタルリザードマンに向け振るう。
メタルリザードマンも反応を見せるが、こちらの方が速い。
白麗剣の刃がメタルリザードマンの腕を捉える。
『ガギイィイン』
硬質な音と共に抵抗感が手首と腕全体にかかるが、ステータスの全てを乗せ振り切る。
続け様に一歩踏み込み、左手に持つバルザードに切断のイメージをのせ更に一閃する。
バルザードがメタルリザードマンの残った腕を落とし、完全に死に体となったモンスターを白麗剣の一撃で消滅させる事に成功した。
そのまま、もう一体のモンスターへと走る。
ヒカリンがアイスサークルで足止めしているメタルゴブリンの背後へと回り込み頭部へと渾身の一撃を叩き込む。
先程同様に右腕に強い抵抗感が伝わってくるがそのまま力押しで振り切りメタルゴブリンを倒した。
いける。
バルザードだけで戦っていた時よりもやり易い。
それにこの階層で初めて使った白麗剣だが、メタルモンスターを断ち切る強度を備えているのがわかる。
流石に豆腐を切るようにはいかないが、十分な斬れ味と強度を持つ手からも感じる事ができる。
実際には、俺の技量が足りないのかその強度を以ってしても全身の力を込める事でようやく斬ることができているが、確実に自分の戦い方に幅が出た。
おっさんに頼んでよかった。
普通に感謝だ。
ベルリアは牛魔刀で相手を完全に押し込んでいたのであいりさんのフォローに入る。
「海斗、早いな」
「あいりさんフォローします」
「ああ、私も負けてられないな。やああああああ〜『斬鉄撃』」