A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (855)
846話 ベルリアの価値は3個分?
「また、わたしの出番か。面倒だから、もう燃やしてしまおうか」
「いやいや、気持ちはわからなくは無いけど、ベルリアも悪気があってこうなってるわけじゃ無いんだから、燃やすのは無し」
「海斗、分かってないな。こんなやつでも士爵級悪魔なんだぞ。士爵級悪魔が同じモンスターに2度も凍らされたんだぞ。燃えて無くなるにはじゅうぶんだ」
「相性が悪かったんじゃないか」
「海斗は見てなかったからそんな事を言うんだ。このバカ調子に乗って、チョロチョロ攻撃をさけてるうちに思いっきり滑って転んだんだぞ。こんな間抜けな悪魔見たことないぞ」
「あ〜そうなんだ」
「マスター、私も見ていましたが、それはもう見事に滑っていました」
「そうなんだ」
「わかっただろ。だからここで燃えて無くなるのがいいんだ」
たしかにベルリアが滑ったのは不注意だったかもしれないけど、ルシェは何もないところで滑ってなかったか。
「ベルリアも今回の事で反省している筈だから、今回は許してやってくれ。魔核を一個多めに渡すから」
「一個?」
「それじゃあ奮発して2個で」
「2個か〜。どうしよっかな〜。炙るのも疲れるしな〜」
「わかった。3個だ。それで頼む」
「3個か〜。海斗がどうしてもって頼むからやってやるんだぞ。おまけだからな」
「ああ、わかってるって」
「ベルリアくんの価値は魔核3個なのです」
「マスター、今回だけとのことですが二度あることは三度あると言います」
「…………」
2度目だからか、みんなの突っ込みが結構厳しい。
ベルリア、今回は魔核3個でいけたけど3度目は無理かもしれない。
一緒に頑張ろうな。
「それじゃあ、チャッチャッと終わらせて魔核3個だ。いくぞ『破滅の獄炎』」
ルシェの放った炎が氷を溶かしていく。
「熱い! 熱い! 燃える! 身体が燃えるように熱い!」
しばらく待つと、いつも通りのベルリアが獄炎に炙られて復活した。
「敵はどこにいるのですか? まさか、見えない攻撃!? 」
「ベルリア、もう敵はいないよ」
「マイロード、いったいこの熱さは……」
「ベルリア、わたしが助けてやったんだぞ」
「姫様が?」
「これで二度目だぞ。次はないからな」
「はっ、ありがとうございます。まさか、また凍らされたのか? そんなバカな」
「ベルリア、足下が濡れているところでは『ファントムステップ』は控えた方がいい」
「ファントムステップ? まさか……私は」
「とりあえず、火傷を治そうな」
「はい、お気遣いありがとうございます。『ダークキュア』」
ベルリアもしっかり反省したようだし3度目はきっとないだろう。
「早くくれよ」
「ああ、わかってるって」
「ご主人様、私たちも頑張りました」
「ああ、シルとティターニアはしっかり戦ってくれたからな」
シルとティターニアにもそれぞれ魔核を3個渡すと、3人揃って美味しそうに魔核を吸収しはじめた。
ベルリアの命は今3人が食べているスライムの魔核3個と等価だと思うと少し複雑だけど、よくよく考えると、今回の戦闘でルシェだけなんにもしれないな。ベルリアの戦いを傍観していただけか。
次の戦闘にはしっかり参加してもらおう。