A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (861)
852話 癒し
一緒に進む事になったのは、男性5名女性2名のパーティだ。
男性陣は20代後半から30代で女性陣2人の年齢は不詳だ。
不詳というのは見た目がという意味ではない。
パーティリーダーは英士さんという大柄な男性で、メンバー全員がシルバーランクとの事だ。
俺たちのパーティはシルたちのおかげで嵩上げされているが、20階層に臨もうとすればシルバーランク相当は必須という事なのだろう。
「あの〜さっきの緑のやつに使ってたのって何ですか。」
「あれか? あれはマジックボムの一種だ。結構使ってる奴いると思うが知らないのか?」
「勉強不足ですいません」
「いや、別にいいんだが」
あれがマジックボムか。
理屈はわからないが、魔核を素材として使っている爆弾のようなものらしい。
ダンジョンマーケットで売っているのを見かけた事はあるが、威力に段階があり1番安いのでも20万はしたはずだ。
「たしかマジックボムって使い切りなんですよね」
「ああ、基本一回限りだが、この階層のモンスターみたいに硬い奴には有効だからな。まあ値段も値段だからポンポン使うようなもんでもないけどな」
たしかに探索用のアイテムは高価なものが多く、計画的に利用しないと、あっという間に支出が収入を上回ってしまう。
そう考えると、ルシェの大食いはあるけど、うちのパーティはまだいい方なのかもしれない。
「そっちはあれか。サーバントが4人、いやもう1匹か。それならマジックボムなしでもいけるか」
「まあ、そうですね」
「それにしても、幼女とそのイタチみたいなのヤバいな」
「ヤバいですか?」
「ああ、ヤバいくらいかわいいな。前にゴブリンのサーバントを使ってる奴に会った時はどうかと思ったけど、そっちのはヤバカワだろ」
「ゴブリンですか……」
やっぱり本当にゴブリンのサーバントっているんだ。
俺もシルのカードが出た時にはゴブリンだけは勘弁と思ったけど、本当にシルでよかった。
「ゴブリンもそこそこレベルがあったからか結構戦力にはなってたけど、まあ見た目がな」
「そうですよね」
「あれを見て以来、サーバントは絶対無いなと思ってたがアリだな。いやかなりアリだな。なあ八雲そう思わないか」
「いや、絶対アリだ。こんなメンバーで探索できたらどれ程楽しいだろうか。癒しだ癒し。特にあの黒いドレスの女の子。いるだけで癒される」
「癒されますか」
「ああ、この殺伐としたダンジョンに咲く一輪の薔薇のようじゃないか。心が潤う。そうじゃ無いか?」
「いや、まあ、そうかな、うん」
まさかのルシェが癒し。
シルなら癒されるのはわかるがルシェ?
いや、まあ、個人の嗜好というか喋らなければ見た目だけなら、そういう事もあるのか?
「おい、海斗!」
「え!?」
「なにか失礼なことを考えてたりしたんじゃ無いだろうな」
「いや、そんな事はナイヨ」
「本当か? あやしいぞ」
「本当にナイヨ」
「ふ〜ん、ならいい」
まさか、考えてた事がわかったりするんじゃないよな。
なんで、鈍いはずのルシェに気取られたんだ?