A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (862)
853話 気合いのベルリア
「あれは絶対ふざけた事を考えてる顔だぞ」
「そうですか? いつものご主人様のお顔に見えるけど」
「いや、見ろ。右の眉毛がちょっと上がってるだろ」
「言われてみれば、少し上がってるかもしれませんね」
「あれ海斗が余計なこと考えてる時の癖だぞ」
「ルシェはご主人様のことよく見ていますね」
「目を離すとろくなことがないからな」
「ふふっ、そういうことにしておきます」
またいつものようにルシェとシルが後方でコソコソ話しをしているが、多分俺のことを話してるんだと思う。
気にはなるけど、ここはいつものようにスルーしておくのが正解だろう。
しばらく歩いていると、シルがしっかりと役目を果たしてモンスターの出現を知らせてくれた。
「ご主人様、お話中失礼します。この先にモンスターがいます」
「ああ、ありがとう。何体?」
「4体のようです」
「オオッ、もしかしてこの天使みたいなサーバント、索敵までできるのか!」
「はい、一応そうです」
「いや、ますます羨ましいな。俺たちはこれだからな」
「感知石ですか」
「ああ、そうだ。高いのを買っても不明瞭な上に入り組んだダンジョンじゃ効果が薄い」
「ああ、そうかもしれないですね。それで、どうしますか? 俺たちが行きましょうか?」
「いいのか? 正直連戦は結構キツイんで、そうしてもらえると助かる。危ないようならフォローは任せてくれ」
「わかりました」
楽勝とはいかないまでも、それなりにこの階層のモンスターとも戦ってきているので4体であっても問題はないはずだ。
注意を払い進んだ先には、やっぱり色つきがいた。
しかも青だ。
「マイロード、あの青いきつねは私におまかせください」
「大丈夫なのか?」
「このベルリア同じ相手に2度の不覚はとりません」
「それじゃあ、無理するなよ」
「あの程度の敵に無理をする必要はありません」
「そうか……」
ベルリアにも期するところがあるのだろうからこれ以上はやめておこう。
ただ2度の不覚はすでにとっているから3度目の正直だ。
俺とのやりとりを終えると同時にベルリアが駆けた。
「ベルリア! 滑るなよ!」
足下が滑りやすい状況は変わっていないので思わず声をかけてしまった。
「意識してさえいれば、この程度、私の障害になりはしない! おおおおおおっ『ブラックブレイド』』」
距離を詰めながら斬撃を飛ばし、更に宙へと舞い青いきつねへと迫る。
「ベルリア! 空中はダメだ!」
青いきつねのスキルはノーモーションからの凍結。
空中で狙われたら避けようがない。
ベルリアの奴気合いが入りすぎて言った側からやらかしてしまった。