A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (867)
ルシェうるさい
おおっ。
歴史の年表を憶え直してみているが、結構スラスラ頭に入ってくる気がする。
この静かな環境と相まってはかどる。
「海斗、もういいだろ? 一階層はもういいだろ? もう、待つのは嫌だ〜!」
「もうちょっとな」
「もうちょっとってどのくらいだ?」
「そうだな、あと1時間くらいかな」
「1時間? むり〜そんなに待てない〜むりむりむり!」
やばい。相手をしてやらなかったらルシェが我慢できなくなってしまった。
「それじゃあルシェも一緒に勉強してみるか?」
「するわけないだろ! ふざけるな〜!」
やっぱり無理か。
「それじゃあ、カードに戻るか」
「海斗、燃やされたいのか?」
「う〜ん、それじゃあ今回だけだぞ」
俺はマジックポーチから魔核を取り出してルシェにひとつ渡してあげた。
「ふ、ふん。わたしをなんだと思ってるんだ。魔核の一個でどうこうできると思うなよ!」
「それじゃあ特別だからな」
ルシェがまだゴネるので追加で魔核をもう一個渡してみた。
「たった2つで……」
「じゃあ、いらないんだな」
「いるに決まってるだろ。ふざけるなよ!」
一応シル達にも魔核を渡してから再び勉強を開始する。
うん、間違いない。
普段よりも頭に入る。
これは間違いなくステータスの恩恵を受けている。
ここで勉強を続ければ、今までの遅れを取り戻すのもそう難しくはなさそうだ。
これまでひたすらダンジョンに潜りレベルを上げた自分を褒めてやりたい。
BP100オーバー。
まさかBPがベンキョウパワーの略だったなんて。
たぶん俺のBP100は受験生の中では上位のはず。
これは受験に勝ったかもしれない。
BPを上げればそれだけ王華学院の合格が近づく。
こんなわかりやすい図式はない。
とんでもない事を発見した俺は、内心歓喜に震えていた。
「なんかあいつ勉強しながらニヤニヤしてないか?」
「ご主人様が幸せそうで私もうれしいです」
「そうか? 気持ち悪いだけだろ」
「ルシェ、そんな言い方をしてはダメですよ.ご主人様にもきっと色々あるのですよ」
「それはシルの考えすぎだと思うぞ。あいつはそんな色々考えてない。間違いない」
あ〜勉強が捗ると楽しい〜。
春香と勉強すると幸福感は凄いけど、緊張して楽しいのとはちょっと違うからこの感じクセになりそう。
明日からは放課後スライム狩りした後にここで勉強だな。
唯一の難点はちょっと暗い。明日は電池式のLEDライトを何個か買って持って来よう。
あとはクッションだな。
やっぱり地面に直座りは冷たいし固い。
これから半年以上使うことを考えるとちょっといいのを買うのもありだ。