A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (87)
第87話 8階層の攻防
俺は今8階層を進んでいる。
「みんな、ウーパールーパー型は問題なく倒せそうだから1番気をつけないといけないのは、魚群だと思う。俺が遭遇したのはトビウオ型だったけど他の魚もいるかもしれない。うちのパーティには強力な盾役がいるわけじゃないから、大群で来られると押し切られかねない。だから戦略を決めておこうと思う。正直、こっちまで到達されたらやられると思う。なので、ある程度距離をとって俺とミカとスナッチ、ヒカリンの一斉掃射で弾幕を張るしかないと思う。撃ち漏らして近づく敵はあいりさんが薙刀で叩き落して再度撃墜するしかない。地面に落としてしまえばあとはどうにでもなるから。」
「なんかパーティ戦って感じがするよね。ちょっとわくわくしちゃうね。」
「いや、そんないいもんじゃないんだけど。あの大群を目にしたら圧倒されると思うよ。」
「私も頑張るのです。」
「私は出番が無い方がいいようだな」
みんなで打ち合わせを終了して探索を続けていると
「キュー、キュー」
スナッチが鳴き始めた。
全員が一斉に水面を注視していると炸裂音と共にワニ型とビーバー型?のモンスターが飛び出てきた。
ワニ型を見ると再び怒りがこみ上げてきた。 ドローンを食べた個体とは別の個体だとはわかっているが、見るだけでムカムカする。ワニ型は俺の敵だと魂に深く刻み込まれたらしい。
「ワニ型は俺がやるから、ビーバー型をみんなで頼む。」
「私も手伝おう」
「あ、ああ、そうですね。お願いします。」
結局俺と愛理さんでワニ型を相手にすることになった。
あいりさんが薙刀のリーチを生かして正面から牽制しながら距離を保つ。
俺はその間に魔核銃でワニ型の目を狙う。ちょっと難易度が高いが目を潰せば楽勝だろう。
つぶらな瞳に一撃では命中せず、二発目で当てることができた。
当たった瞬間にあばれまくっているので効果抜群だったようだ。
潰れた目の死角側から後ろに回り込み尻尾の動きに気をつけながらバルザードを背側部に差し込んで消滅に成功した。
隣を見るともう戦闘は終了していた。まあ1体にあの2人と1匹が総がかりになったら勝負は一瞬でつくだろうと思う。
「今日は初日だし次の戦闘で帰ろうと思うんだけどいいかな。」
「「「はい」」」
その後帰りながら探索を続けていると
「ミュー、ミュー、ミュー、ミュー」
スナッチがさっきまでと明らかに様子が違う。
「みんな注意してくれ、魚群かもしれない。横一列に並んでくれ。撃てなくなったら後ろに下がって。」
魚群の可能性が高いと感じ指示を出すが、このメンバーで初めて対応するので不安がないといえば嘘になる。
いざとなればシル達を召喚する必要があるかもしれない。
覚悟を決めて敵の出現を待つ。
水面が一斉に爆発して魚群が迫ってくるがトビウオではない。これはボラか?トビウオよりも大きく羽は生えていないがすごい勢いで飛んでくる。
驚くまもなく魔核銃を撃ち始めると同時に他のメンバーも照射を始める。
とにかく撃ちまくる。十発はすぐに撃ち終わり「ウォーターボール」を連発する。
ただ俺の「ウォーターボール」は着弾まで拘束がかかるのでどうしても連射速度は劣ってしまう。
ちょっと気持ちは焦るが平静を装い手にはバルザードを構える。
横目で周りを確認するとミクは既にボウガンを撃ち切って下がっている。
ヒカリンとスナッチはスキルと魔法を連発している。
特にスナッチは見えない風の刃を間髪入れずに連射しているようで風の刃の弾幕が張られているのか、ボラが近づいて来れる気配は一切ない。
俺もウォーターボールを五発放ったところで、全てのボラ型モンスターを消失もしくは地面に叩き落とすことに成功した。
魔核銃のマガジンを装填し直し、あいりさんと一緒にビチビチ跳ねているボラ型モンスターを始末していった。しかし、巨大マグロを超える巨大ボラの群れは圧巻だったが、思っていたよりもずっとスムーズに勝つことができた。
やはりこのパーティの中遠距離攻撃は秀逸だと思う。
今回の反省は、迫り来るボラにびびって、焦ってしまいマガジンの再装填ではなく、『ウォーターボール』を選択してしまった事だろう。連射速度が落ちた上に決して多くない俺のMPが劇減りしてしまった。
今度はもっと落ち着いて対応しよう。