A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (872)
863話 ベルリア平常運転
「ヒカリン『アースウェイブ』でベルリアの援護を!」
少し小型とはいえ、敵は3体。ベルリア1人では荷が重い気がするので、後方からできるだけ支援するしかない。
ベルリアに対し、紫色のメタルモンスターが一斉に襲いかかる。
メタルモンスターはやはり速い。
三方から急加速しベルリアとの距離を詰め攻撃を繰り返すが、ベルリアは最小限の動きで躱しながらすれ違い様に肉切り包丁で斬りつける。
あの大きな剣で、あの速度の敵に合わせるのは流石ベルリアだが、溜めを作れない通常の攻撃ではメタルモンスターに致命傷を与えるには至らない。
「『アースウェイブ』 ベルリアくん今なのです!」
ヒカリンがタイミングを測りスキルを発動し、敵の一体が足を取られた。
「ヒカリ様、ご助力感謝します。 『アクセルブースト』」
ベルリアは、それを逃さず、ハマったメタルモンスターに向かい加速して肉切り包丁を叩き込んだ。
「あと二体ですね。やはり私の敵ではありません」
「ベルリア!」
ベルリアが一体倒した直後、残りの二体の身体からは紫色の靄のようなものが立ち上りベルリアを包み込んだ。
「マイロード、心配は無用です。このベルリアに毒など効くはずもないのですから」
ベルリアは全く気にする様子もなく紫の霧の中を駆け、メタルモンスターへと肉薄し斬撃を加える。
さすがはベルリアだ。
以前も毒のブレスを浴びてもノーダメージだったように、今度の毒の霧もダメージは無いらしい。
相性も良さそうだしそこまでフォローを必要としているようにも無いが、一応、ベルリアに迫るもう一体に向けバルザードの斬撃を放つ。
同じくミクがスピットファイアで足止めする。
続け様にティターニアが『ドラグナー』を放ち、ベルリアの相対していたメタルモンスターへとダメージを与える。
動きの止まったメタルモンスターへ『アクセルブースト』でとどめをさす。
残るは一体。
もう、大丈夫だろう。
「ベルリア?」
華麗に二体目のメタルモンスターを葬ったベルリアだが、三体目へと歩を進めようとしているが、何やら様子がおかしい。
先程まであれほど鋭い動きを見せていたのに、妙に動きが緩慢だ。
ゆっくりとスローモーションのような動きをしており、メタルモンスターの反撃をくらってしまった。
「くっ……この……ていど」
なにが起こっているのか、ここからでは判断しづらいが、ベルリアがピンチである事には変わりない。
「ルシェ!」
「だから言っただろ。最初からわたしにまかせとけって。倍だからな」
「倍ってなにが?」
「もちろん魔核に決まってるだろ。わたしを都合のいい召使いかなんかと勘違いしてるんじゃないだろうな?」
「わかったって。わかったからベルリアのフォローを頼んだ」
「ベルリアのフォロー? 違うな。わたしが倒すんだぞ。さっさとくたばれ! 『侵食の息吹』」