A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (874)
865話 酔っ払い
ベルリアが足をふらつかせながら、ゆっくりとこちらへと向かってくる。
その左頬にはルシェの手形がくっきりと印されているが、やはり顔には満面の笑み
その異様とも言える光景は間違いなく先程のモンスターが放った紫色の靄の影響だろう。
「べ、ベルリア大丈夫なのか?」
「ヘェ、ヒョ、ヒョ」
「ベルリアくんがおかしくなったのです。きっとあの紫のにやられてしまったのです」
「だけど、あの感じ見たことあるわ。街のサラリーマンの人が週末にあんな感じだったかも」
「ああ、確かに。程度の違いはあれ、あのベルリアの姿は酔っ払いにしかみえない。この前、うちの門下生の人がお花見で飲みすぎてああなっていたぞ」
いや、確かに酔っ払いのように見えるけど、ベルリアは毒にやられておかしくなったんだ。精神に影響を及ぼす毒だったのかも。
「ふんっ、あのバカが毒酔いしただけだぞ。心配するだけ無駄だ」
「ルシェ様、毒酔いなんてあるのですか?」
「あるぞ。魔界には魔素溜まりがあるからな。出来の悪いのが時々魔素でああなるんだ。毒もおんなじようなもんだろ」
「そうなのですか。ところであれは治るのですか?」
「放っておいたら治るぞ」
「よかったのです。どのくらいで治るのですか?」
「ハ、ヒミョ、ヘレェ〜」
「あのふざけた感じなら2日ってところだろ」
「2日ですか!?」
「ああ騎士の恥だな。そうだアイツのあの姿を撮ってやれ。あとでなんて言うか楽しみだぞ」
ああ……べルリア憐れ。
だけど回復に2日って無理だろ。
もし本当に酔ってるんだとしたらポーションでいけるか?
だけど一応毒みたいだしポーションの適応じゃないのか?
「マスター、よければ『キュアリアル』を試してみましょうか?」
「そうだな。すぐには治らなくてもちょっとはマシになるかもしれない。やってくれ」
「はい。この者に精霊樹の息吹を授けん『キュアリアル』」
『キュアリアル』の効果でベルリアがうっすらと緑色の光に包まれる。
「ハ、ハヒィ。ヒハッヘル」
残念ながら『キュアリアル』は徐々に回復するタイプの魔法なのですぐに変化は見て取れない。
しかも本当に2日もかかるような症状なら『キュアリアル』だけで短時間に回復するのは無理かもしれない。
「でも、ベルリアくん楽しそうなのです」
「エ、ヘ、ヘ、ヘェ」
普段、冷静キャラを装っているベルリアがここまでキャラ崩壊するとはどんだけ強力だったんだ?
「ルシェ、あの紫のをくらうと俺たちもああなるのか?」
「は〜海斗、頭は大丈夫なのか? ただの人間がくらったら死ぬに決まってるだろ。毒だっていってるのに聞いてたのか? 一回死んでみるか?」
「いや、遠慮しとくよ」
やはり、あれは致死性の毒だったのか。紫は見た目通りやばいな。
「ハヒャヒャハハ」
それに冗談抜きでベルリアはいつ回復するんだろう。
このままじゃ探索を続けるのは難しいかもしれない。