A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (886)
ファンクラブ
作る相手か……。
ミクのパパは忙しいみたいだしな。
それにしてもミクもあいりさんも作る相手がいないのは不思議だ。
二人共異性からモテそうだけど厨二病に罹患してるからなかなか難しいのかな。
K-12はなぜか全員お一人様だ。
お一人様が集まってパーティを組んでるのもある意味感慨深い。
まあ、毎週末探索しようと思ったらお一人様の方が都合がいいのも間違いはない。
そういえばこの前あいりさんは一階層で声かけられてたな。
「御前様」
そう呼ばれて、思わず立ち止まってしまったけど『御前様』は結構インパクトある。
声をかけてきたのはあいりさんのファンだという男性探索者。
『御前様』を見かけて思わず声をかけてきたらしい。
あいりさんの二つ名令和御前だから『御前様』でも間違いではない気もするけど、リアルで呼ばれているのを聞いてしまうと『黒い彗星』並にきつい。
「『御前様』 応援してます! 一緒に写真撮ってもらっていいっすか」
「ああ、写真くらいなら」
「ありがとうございます。感激っす」
以前、隼人達がメンバーのファンクラブができてるなんて言ってたけど、あながち冗談じゃないのかもしれない。
まあ、ダンジョンにいるって事は探索者だし身元もはっきりしてるはずだしそれは安心材料かも。
「ミクやカオリンは写真とかお願いされる事ってないのか?」
「まあ、ないことはないけどダンジョンに1人でいる事ってまずないから、そう多くはないわね」
「わたしもなのです。知らない人に急に写真って言われても怖いのです」
「それは確かに」
「海斗の方があるんじゃない? 毎日一人で潜ってるんだし」
「俺? ないない」
いくらないんでも流石に俺の写真を撮りたい人はいない。それに探索者の大部分は男性なので、写真をお願いされてもちょっと怖い。
「そうだ。はいそこで止まって。今日の一枚」
「今日の一枚って……」
「春香に送るんだから5割マシくらいカッコ良くね」
「わかったよ」
ミクは未だにまめに写真を撮って春香に送ったりしているらしい。
連絡も取り合って、結構一緒に遊びに行ったりもしてるみたいだ。
同学年なのもあってメンバーの中でも特に仲良くしてくれてるみたいだし、来年王華学院に一緒に通うことになればいいなあと思う。
「そういえば、シル様やルシェ様は大丈夫なの?」
「ああ、それは大丈夫。 基本、奥に行ってから喚んでるからあんまり人目につくこともないし」
「そうよね。じゃないと大変な事になりそう。シル様〜こっち向いてください。はい!」
そういうとミクはシルの写真もしっかり収めていた。
「は〜〜やっぱり、シル様のお姿神々しいわね。一日中眺めてられるわ」
「ミクさん、私にも送ってください」
「もちろんよ」
「私にも頼む」
「わかってます」
こっちはファンクラブというか信者だな。