A Nobody's Way Up to an Exploration Hero RAW novel - Chapter (891)
19階層主戦3
分離されたスライムにはおそらく『サンダースピア』が効いていた。
外傷を与える事は出来ていなかったけど、動きを止める事に成功していた。
ボススライムから分離すると、小型のスライムはその耐性が下がるのかもしれない。
ベルリアが相手にしているボススライムからは広範囲を凍らせるスキルが放たれている。
このボススライムの属性は俺の倒したスライム同様に氷。
しかもそのサイズに比例して明らかにスキルの威力が高い。
ベルリアは、華麗に避けつつボススライムへと迫るが確実に周囲の地面は凍り、戦い辛くなっている。
高速で移動するボススライム相手にこれはかなり厳しい。
「ベルリア、援護するわ。『サンダースピア』」
先程同様ミクが雷の槍を放ち、ボススライムへと着弾する。
着弾の際間、ボススライムが僅かに震えるが意に介した様子はない
『ファントムステップ』
ベルリアがスキルを発動して一気に距離を詰め攻撃する。
『アクセルブースト』
「ギィリィイイン」
金属同士が擦れる音が周囲に響き、火花が飛び散る。
ベルリアが全身を捻るようにして更に力を加えていくとベルリアの持つ肉切り包丁がボススライムへとめりこむ。
「はあっ!」
ベルリアの気合いと共に肉切り包丁がボススライムの身体を抉る。
『アクセルブースト』
スキルを連続で発動し、ボススライムを更に刻んでいく。
ベルリアのスキルと剣技は硬質なボススライムの身体を突破して確実にダメージを与えているように見える。
ボススライムが震え再びその体色が変化し始めた。
青から緑へと色を変えると、凍った地面からは植物の蔓のような物が生えてきてベルリアに巻きつこうと迫る。
ベルリアはその場から離れ避けるが、蔦が追ってくる。
下がりながら肉切り包丁で払い斬る。
「ちょろちょろ、面倒な。燃えてなくなれ『破滅の獄炎』」
ルシェが獄炎を放ち、ボススライムと共の地面に茂る蔓を焼き払う。
「姫、ありがとうございます」
ボススライムは色を変える事で二種類のスキルを使い分ける事ができるのか?
しかも、ベルリアが離れるとボススライムが特段弱った様子は見て取れない。
ベルリアのあの攻撃でもダメージは無いのか?
獄炎に炙られながらボススライムは更に体色を変化させ、今度はオレンジに近い。
獄炎に苦しんでいる様子もない。
いずれにしても、このままベルリアだけで致命傷を与える事は難しいだろう。
「あいりさん!」
あいりさんと同時にビッグスライムへと走り出す。
ビッグスライムが再び震えると、その一部が分離し俺たちの前へオレンジ色のスライムが二匹現れた。